アウトキャスト・エリート

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Doris · 連載中 · 585.7k 文字

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紹介

恋人はエリックを振った。どうせまた、ありふれた貧乏男のひとりだと思い込んだからだ。だが彼女は知らなかった。周囲の薄っぺらさに幻滅したエリックが、どんな逆境にも屈せず権力の座へと這い上がる決意を固めていることを。今は見下していればいい。やがて彼は、彼らが夢に見ることしかできない高みへと舞い上がるのだから。

読者の皆さまへ。私たちが共に紡いできたこの物語の旅路は、来週から定期更新として再開いたします。ただし、連載の進行について一点お知らせがあります。今後は、毎週二話ずつの公開とさせていただきます。各話を皆さまにふさわしい高い品質でお届けするための判断です。

お待ちいただいた時間は、私たちにとって何よりの励みでした。だからこそ、内容の濃さと引き込みの強さを損なわぬよう、週二話に制作の力を集中し、皆さまが期待してくださる奥行きと謎めいた面白さを備えた回を確実にお届けしてまいります。どうか引き続き、このページの中でご一緒ください。待ち受ける冒険は、より鮮やかな捻りと胸を熱くする物語を織り込みながら進んでいきます。

この変更は、皆さまの読書体験と物語の展開をいっそう豊かにするためのものです。少し形を変えた、けれど変わらず胸躍る旅の次の章へ向けて、どうかご理解と変わらぬご支援を賜れますようお願い申し上げます。

チャプター 1

ニューヨークの喧騒のど真ん中――。

エリックは威圧感のあるパワー邸宅の正門に立ち、微笑みを浮かべたまま、映画のチケットを二枚、手の中でぎゅっと握りしめていた。唇にはかすかな笑みが宿り、視線は豪奢な入口に釘づけだ。彼は、ある人物が姿を見せるのを心待ちにしていた。

そのとき、建物の中から男女が一組、談笑しながら出てきた。澄んだ空気の中に笑い声が響く。男は仕立てのいいスーツを完璧に着こなし、腕にはジャガー・ルクルトの時計、腰元にはビーエムダブリューの鍵をさりげなくぶら下げている。女は抜群のスタイルに、整った顔立ち――その女こそ、ウェンディだった。

「ウェンディ!」

エリックは笑顔で声をかけた。だが、ウェンディがエリックを見た瞬間、表情が変わる。視線が交わった途端、不快感がありありと浮かんだ。

「あなた……何しに来たの? 会社には来ないでって言ったでしょ。同僚に見られたら恥ずかしいじゃない!」

ウェンディは露骨に不機嫌だった。口調も鋭く、刺々しい。だがエリックは笑みを崩さず言った。

「今日は付き合って二周年だろ。驚かせたくて映画のチケットを買ってきたんだ」

そう言って、エリックはチケットを差し出した。

するとスーツの男が眉をひそめ、怪訝そうに口を挟む。

「二周年? ウェンディ、彼氏はいないって言ってなかったか?」

不意を突かれ、ウェンディは口を開けたり閉じたりして言葉を探した。

「ス、スミスさん、これは……私……」

スミスはエリックへと視線を向け、上から下まで値踏みするように見回した。その笑みは見下した色を帯びている。

「ウェンディ、お前の趣味はどうなってるんだ? こんな貧乏人を彼氏にするのか。服を見ろ、どう見たってどん底の貧乏だろう」

ウェンディの顔色が変わり、恥ずかしさに頬が熱くなる。エリックとスミスの間で視線が泳いだ。――私を恥さらしにしてる。

スーツの男の嘲りを聞き、エリックの表情もわずかに硬くなる。しかし言い返すことはせず、静かな決意を湛えた目でウェンディの手を取ろうとした。

「ウェンディ、行こう」

「は? どこへ行くのよ」

ウェンディは身を引き、エリックの手を乱暴に払いのけた。

「スミスさんの言う通りよ! あなたはただの貧乏人。私が欲しいって言った携帯やバッグ、買ってくれたことある? 買えるの? 映画だって、記念日まで待たなきゃ行けないくせに。そんなので、私にどんな幸せをくれるのよ?」

言葉は容赦なく、突き放すように冷たい。

エリックは顎を引き、苦しそうに声を絞り出した。

「ウェンディ……確かに今は貧しい。でも……必ず頑張る。必ずだ」

歯を食いしばって言うエリックに、ウェンディは鼻で笑った。冷えきった、嘲笑だった。

「頑張る? あはは! 笑わせないで。あなたの家は貧乏で、金もコネも後ろ盾もない。どれだけ一生懸命働いたって、スミスさんの小指の爪の先ほどにも及ばないわ!」

スミスも追い打ちをかけるように、ねっとりと嘲りを含んだ声で言った。

「お前みたいな身分じゃ、俺の靴を磨くことすら身のほど知らずだ」

「……!」ウェンディの声が再び響いた。語気はきっぱりとしている。「エリック、ずっと前から言おうと思ってた。でも、あなたなんか私にふさわしくない――私には釣り合わないのよ! 今日、今この瞬間から、あなたとは別れる!」

そう言い放つと、彼女はミスター・スミスのほうへ身を翻し、媚びるような笑みを浮かべた。

そして彼の腕に自分の腕を絡めると、猫なで声で言った。「ミスター・スミス、行きましょ。ホテルの手配はもう済ませてあるの。それに、あなたが好きだって言ってたあの服も着てる……」そう囁きながら、彼の腕をいっそう強く抱き寄せた。

その言葉にミスター・スミスの目が輝き、彼は勝ち誇ったようにエリックを見やった。「貧乏人に恋なんて似合わない。わかったか?!」そう言い捨てると、彼はウェンディを連れて近くに停めてあったビーエムダブリューへ向かい、エリックだけをパワー・マンションの入口に取り残した。

二人の姿が遠ざかっていくのを見送りながら、エリックの胸は悲しみと怒りとどうしようもない無力感で締めつけられた。「俺が貧乏だってだけで、二年の付き合いがこんな終わり方か……」独りごちる声はかすれ、指先は握りしめた掌に食い込み、血がにじんだ。

エリックとウェンディは高校の頃からの知り合いで、卒業後に恋人同士になった。あの頃のウェンディはまだ無垢で、いま彼女を飲み込んでいる物欲など影も形もなかった。エリックは地元の大学に合格し、ウェンディは志望していた大学に受からず就職した。そこからだ。彼女は少しずつ変わっていった。無邪気さは薄れ、代わりに金や見栄への執着が育っていった。

エリックは追いかけもしなかった。引き留める言葉も口にしなかった。ミスター・スミスのような男を相手に張り合えるはずがないとわかっていたし、なにより――ようやくウェンディの本性を見たのだ。貧しいというだけで浴びせられてきた無数の侮蔑の視線や、不公平な扱い。それでも、彼の芯は折れていなかった。

「ウェンディ……今日みたいに俺を見下したこと、必ず後悔させてやる。いつか、お前じゃ手が届かない場所まで行く」エリックは誓った。瞳には熱が宿っている。「ミスター・スミス、お前もだ。俺に力がついたその時、思い知らせてやる……!」

ニューヨークのスラム――社会の底辺が押し込められた街の一角に、エリックの家はあった。重い足取りで帰路につきながら、彼の頭は金を稼ぐ方法でいっぱいだった。だが、貧しい家庭に生まれたただの大学生に、まとまった金を得る道など見当たらない。大金を掴むという発想そのものが、現実離れした夢に思えた。

社会の理不尽さが、ずしりとのしかかる。どれだけ一生懸命働いたところで、金持ちの子どもたちを追い越せないかもしれない――そんな残酷な現実が、骨身に染みていた。

ミスター・スミスは目を輝かせ、見下すような笑みでエリックを見た。

「貧乏人に恋なんて似合わない! わかったか?!」そう言うが早いか、トム・スミスはウェンディの手を掴み、近くのビーエムダブリューへと連れていった。

二人が姿を消すのを見ながら、エリックの胸は悲しみと怒りと無力感で締めつけられる……。

「俺が貧乏だってだけで、二年の関係がこんなふうに終わるのか?」

エリックは俯いた。固く握りしめた拳の爪が掌に食い込み、血が滲んだ。

エリックとウェンディは高校で知り合い、卒業後に恋人関係を確かめ合った。そのころのウェンディはまだ無垢だった。

エリックは地元の大学に受かったが、ウェンディは希望していた大学に入れず、社会に出た。それ以来、ウェンディは徐々に変わり、すっかり物質的な女になっていった。

エリックは、ウェンディを追いかけるのも引き留めるのもやめることにした。貧しい少年である自分が、スミス氏のような相手と張り合う資格などない。しかも今のエリックには、ウェンディという人間がどんな女か、はっきり見えてしまっていた。

正直なところ、貧しい身分のせいで、これまでどれほど侮蔑の視線を浴び、どれほど理不尽な扱いに耐えてきたのか、もう数えきれない。

「ウェンディ……今日みたいに俺を見下したこと、必ず後悔させてやる。いつか、お前じゃ俺のいる場所に届かないってな!」

エリックの目に、揺るぎない決意が鋭く閃いた。

「それにスミス氏……俺に力がついたその日には、思い知らせてやる!」

……

ニューヨークのスラム街。

ここに住むのは、社会の底辺に追いやられた人々ばかりで、エリックの家族も例外ではなかった。

帰り道、エリックの頭は金を稼ぐことばかりでいっぱいだった。あれこれ考えても、妙案はひとつも浮かばない。貧しい家庭の、ごく普通の大学生に過ぎない自分が、大金を手にするなど――どう考えても無理難題だ。

世の中は不公平だ。どれほど一生懸命働いたところで、金持ちの子どもを追い越せないことだってある。

家に着いた瞬間、エリックの視線は釘づけになった。家の外に、ベントレーが一台停まっている。ナンバープレートは、イリノイ州の州都のものだった。

「なんで……こんな高級車が、うちの前に?」

理解できず、胸の奥がざわつく。エリックは足を速め、好奇心と不安に背中を押されるまま、おそるおそる家の中へ入った。

中に入ると、母親が見知らぬ老人と一緒にいた。スーツ姿のその男は、ただ座っているだけで周囲の空気を支配するような、凄みのある存在感を放っている。

「孫よ」

老人はにこやかに、そう呼びかけた。

その二文字が、エリックを一瞬で混乱に突き落とした。

「母さん……なにが、どうなってるんだ?」

エリックは母と老人を交互に見ながら問いかける。

母は深くため息をつき、悔いを滲ませた目で言った。

「エリック……今までずっと、あなたに嘘をついてた。おじいちゃんは死んでなんかいないの。この人が、あなたの本当のおじいちゃんよ。私があなたのお父さんと一緒になろうとしたとき、おじいちゃんが反対して……それでお父さんと私は駆け落ちしたの……」

突然の告白に、エリックは頭がくらくらした。自分に祖父がいる? 両親は、恋のために駆け落ちを?

部屋がゆっくりと回り出したように感じる。

「エリック。あなたのおじいちゃんは、ショーン・ウィリアムズよ」

母は続けた。

「ショーン・ウィリアムズ……!」

エリックの頬が引きつった。

知らないはずがない。ショーン・ウィリアムズはイリノイ州で最も裕福な男で、その名は州内どころか全国にまで轟いている。

シカゴを拠点とするウィリアムズ・パワー・グループは、各都市に強い影響力を持ち、ニューヨークにも大きな事業を展開していた。

「……あなたが、本当に……ウィリアムズ・パワー・グループの会長、ショーン・ウィリアムズなのか?」

エリックは目を見開いたまま、ショーンを見据えて尋ねた。

信じられない。自分の実の祖父が、そんな大物だなんて。

「そうだとも、かわいい孫よ!」とショーンは言った。笑みをいっそう大きくしながら近づき、エリックを抱きしめようと腕を広げる。

だがエリックは一歩、後ずさった。

「どうして今まで出てこなかったんだ?そんなに金持ちなら、なんで母さんをこんな目に遭わせた!」エリックは怒鳴った。

自分が苦労したことなど、どうでもよかった。だが母のことは違う。怒りは隠しようがないほど滲み出ていた。父はエリックが幼いころに亡くなり、それからずっと母はたった一人で彼を育ててきた。どれほど大変だったか、エリックは痛いほど知っている。

「エリック、お母さんは頑固でね。私はこれまで何度も金を送ろうとしたが、全部突き返された。お前のことも、私に認めさせまいとしたんだ。私はずっと、お前の人生に関わりたかった。何しろ、お前は私のたった一人の孫なんだから!」ショーンはどうしようもないという調子で説明した。その声には無力さが滲んでいた。

「母さん、本当なのか?」エリックは母に顔を向け、確かめるように見つめた。

母はうなずき、言った。「ええ。あなたが生まれてからずっと、私は彼にあなたを会わせなかった。でも今は分かっているの。私の判断で、あなたの人生を縛るべきじゃなかったって。あなたは彼に認められるべきよ。受け入れてちょうだい。あなたにはその価値があるわ」

「かわいい孫よ!」ショーンは笑顔のまま、もう一度エリックに手を伸ばした。

今度は、エリックは避けなかった。

ショーンはそのまま彼を抱き寄せる。「今まで苦労したな。安心しろ、じいちゃんが必ず埋め合わせをしてやる!」そう言うと、ショーンは銀行カードを取り出してエリックに差し出した。

「この口座に十億ドル入っている。ひとまず小遣いだ。足りなければ、じいちゃんに言いなさい」

「じゅ、十億ドル……!」

エリックの手は震え、腰が抜けそうになった。彼にとっては天文学的な額だ。そんな大金を自分が持つ日が来るなど、想像すらしたことがない。だがショーンにとっては、たかが小遣いなのか。

「ははは、十億ドルなんて、ばあさんと私にとっては大した額じゃないんだよ」ショーンは笑い、カードをエリックの手に押し込んだ。「それに、ニューヨークの事業は全部、お前に譲ってある……」

「お、俺に?でもまだ大学生だし、それに……経営の経験なんてない」エリックは肩をすくめた。

「問題ない。ニューヨークの事業は安定しているし、運営チームも揃っている。お前は名目上の会長として座っていればいい。学業はそのまま続けなさい。支社の稼ぎだって好きに使っていい」ショーンは太鼓判を押した。

「分かった!」エリックはうなずいた。

今日ウェンディの件があってから、エリックは骨身に染みて理解していた。金と地位がどれほど物を言うのかを。

そして思い出す。ついさっき別れたウェンディは、パワー・グループのニューヨーク支社の受付で働いている。あのミスター・スミスも同じ支社の人間だったはずだ。自分がその会社の新しい会長だと知ったとき、二人がどんな顔をするのか――そう考えるだけで、口元がゆるんだ。

ほどなくして、彼はこの会社の会長になる。その事実が、エリックの胸を期待で満たした。ウェンディとミスター・スミスが、自分が彼らの会社の新会長だと知った瞬間に浮かべる驚愕の表情を思い描きながら……。

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