五歳下の弟と結婚したら、ある日「汚い」と言われました

五歳下の弟と結婚したら、ある日「汚い」と言われました

渡り雨 · 完結 · 19.1k 文字

676
トレンド
4.7k
閲覧数
289
追加済み
本棚に追加
読み始める
共有:facebooktwitterpinterestwhatsappreddit

紹介

高橋義和は、私より五歳年下。

「年齢なんて関係ない」と、真っ直ぐに愛を伝えてくれた彼。

それなのに、聞いてしまった。
彼が友人にこう漏らすのを。
「なんでだろうな。あいつが三十路を越えた途端、なんか……汚く見えちまって」

彼は、私にどこか似た若い愛人を作った。
私には愛を、彼女には性を。

私はただ、離婚届を突きつける。
「お姉さんはね、遊ぶのも負けるのも、覚悟の上なの。わかった?」

チャプター 1

 見知らぬ着信音が、私の思考を遮った。

 浴室のドアの前に立つ私の目の前で、高橋義和のスマートフォンの画面が光る。

 名前も、通知も表示されない。ただ冷たい数字の羅列があるだけ。

 一瞬ためらった後、私は通話ボタンを押した。

「もしもし?どなたですか?」

 と、私は小声で尋ねる。

 電話の向こうは、不気味なほど静まり返っていた。数秒後、相手は一方的に通話を切った。

 浴室からは、今も義和の楽しげな歌声が聞こえてくる。

 彼がシャワーを浴びながら流行りの歌を口ずさむようになったのは、ここ数ヶ月で身についた新しい習慣だった。

 私は手の中のスマートフォンをじっと見つめる。不吉な予感が、胸の内に広がっていく。こんな着信は、これが初めてではなかった。

 先週も知らない番号から電話があり、私が応答するとすぐに切れた。その時、義和に尋ねたが、彼は気にも留めない様子で手を振り、迷惑なセールスの電話だろうと言っただけだった。

 私は深呼吸を一つし、親指でそっと画面をスライドさせる。パスコードは、私たちの結婚記念日——〇九〇三。

 画面のロックが解除された。

 心臓の鼓動が速くなる。結婚して五年になる夫婦とはいえ、相手のスマートフォンを勝手に見るのは、やはり良いことではない。

 だが、あの電話……あの沈黙……。

 考えずにはいられなかった。

 LINEアプリを開くと、まず目に飛び込んできたのは、ピン留めされたいくつかのトークルームだった。私、松本、高橋和也。その下には、ほとんどが仕事のグループや同僚とのやり取りが並んでいる。

 しかし、一つだけ私の注意を引くトークルームがあった——『お姫様』と名付けられ、通知オフに設定された連絡先。

 最新の未読メッセージが、そこにはっきりと表示されていた。

「義和君に会いたいよぉ〜」

 心臓を、見えない手にぎゅっと鷲掴みにされたような感覚に陥る。

 トークルームを開くと、若い女の子のアイコンが目に入った——お団子ヘアに、唇を尖らせて可愛い表情を作っている。典型的な二十代前半の女の子が好みそうなスタイルだ。

 私は素早くスクリーンショットを撮って保存する。

 トーク履歴を遡ると、そのほとんどが他愛ない日常会話で、親密な口調と様々な可愛いスタンプで埋め尽くされていた。

 写真も数枚あった。女の子が流行りの服を着て、色々なポーズを取っている。

 私の手が、微かに震え始めた。

 毎月初めには、五十万円の定額送金が、少なくとも三ヶ月は続いていた。

 それ以外にも、様々な金額の送金履歴があり、中には特別な意味が込められたものもあった。

 冷静にならなければ、と自分に言い聞かせる。

 私はそれらの送金履歴を写真に撮り、トークを未読状態に戻してから、ホーム画面へと戻った。

 ちょうどその時、浴室のドアが開いた。

「あー、さっぱりした!」

 義和がバスタオルを腰に巻いて出てきて、私が彼のスマートフォンを持っていることに気づいた。

「誰かから電話?」

「うん、さっき電話があったけど、何も言わずに切れちゃった」

 私はできるだけ平静を装って答えた。

「ああ、最近セールスの電話が多くて、うざったいんだよな」

 彼は無造作にスマートフォンを受け取ると、クローゼットへ向かった。

 彼がさっと画面を確認し、何事もなかったかのように口を開くのを、私は見逃さなかった。

「ちょっと出かけてくる」

「こんな遅くに?」

 壁の時計に目をやると、もうすぐ十時だった。

「松本の方で急ぎの書類があって、ちょっと見てくれって頼まれたんだ」

 彼は手早く服を着ると、財布と鍵を手に取った。

「遅くなるかもしれないから、先に寝てていいよ。多分、帰らないから」

 私はリビングの中央に立ち尽くし、壁に飾られた、新宿の高級レストランで撮った結婚式の写真を見つめた。写真の中の私たちは、あんなにも幸せそうに見えるのに。

 義和が慌ただしく出て行くと、マンションは息が詰まるような静寂に包まれた。私はあの女の子の顔を思い出そうと必死になる。どこかで見たことがあるような気がしてならなかった。

 不意に、ある記憶が脳裏に蘇った。

 半年前のある夜、私は義和を保釈するため、渋谷の交番へ向かった。

 彼は人と喧嘩をして、連行されたのだ。

 その時の彼は怒り心頭で、酔っ払いがカフェのウェイトレスに絡んでいるのを見て、我慢ならず手を出したのだと私に語った。

 交番の入り口で、カフェの制服を着た女の子が、俯きながら義和に礼を言っていた。

「お前、仕事変えろよ。あんな場所でバイトするな」

 義和は苛立った様子で言った。

「気をつけます。今回は本当に、あなたがいなかったらどうなっていたか……ありがとうございました」

 女の子は小声で言った。

「行くぞ。それと、お前はさっさと仕事を変えろ」

 義和は彼女の言葉を乱暴に遮り、私の手を引いてその場を離れた。

 女の子は、学費を稼がなければならないから仕方がない、これからは危険な目には遭わないようにすると、苦々しく答えていた。

「好きにしろ」

 義和は冷たく言い放った。

 後日、保釈に付き合ってくれた中島花が、あの女の子は私の若い頃に三、四分ほど似ていると指摘したことがあった。

 その時の私は、特に気に留めていなかった。

 今、スマートフォンに保存した写真を見て、私は確信した——『お姫様』は、あのカフェの女の子だ。

 彼女の名前は、田中千佐登。

最新チャプター

おすすめ 😍

二度目はない 動じず咲く

二度目はない 動じず咲く

138.3k 閲覧数 · 完結 · Gloria Fox
結婚式の一ヶ月前、私は一年かけて自らの手で縫い上げたウェディングドレスを燃やした。

婚約者は身ごもった愛人を腕に抱き寄せたままそこに立ち、私を鼻で笑っていた。「俺がいなきゃ、お前なんて何の価値もない」

私はきびすを返し、この街で最も裕福な男の扉を叩いた。「ロック氏、政略結婚にご興味はおありですか? 千億ドル相当の株式――それに加え、未来のビジネス帝国も無料でお付けいたしますわ」
令嬢は離婚を機に大富豪への道を歩む

令嬢は離婚を機に大富豪への道を歩む

788k 閲覧数 · 連載中 · 蜜柑
天才陰陽師だった御影星奈は、かつて恋愛脳のどん底に落ち、愛する男のために七年もの間、辱めに耐え続けてきた。しかしついに、ある日はっと我に返る。
「瀬央千弥、離婚して」
周りの連中はこぞって彼女を嘲笑った。あの瀬央様がいなくなったら、御影星奈は惨めな人生を送るに決まっていると。
ところが実際は――
財閥の名家がこぞって彼女を賓客として招き入れ、トップ俳優や女優が熱狂的なファンに。さらに四人の、並々ならぬ経歴を持つ兄弟子たちまで現れて……。
実家の御影家は後悔し、養女を追い出してまで彼女を迎え入れようとする。
そして元夫も、悔恨の表情で彼女を見つめ、「許してくれ」と懇願してきた。
御影星奈は少し眉を上げ、冷笑いを浮かべて言った。
「今の私に、あなたたちが手が届くと思う?」
――もう、私とあなたたちは釣り合わないのよ!
追放された偽令嬢、実は超財閥の真の令嬢

追放された偽令嬢、実は超財閥の真の令嬢

99.4k 閲覧数 · 連載中 · あざ鳥
「お前みたいな偽物の令嬢、さっさと山奥に帰れ!」

孤児だと判明した途端、彼女は養父母から冷酷に家を追い出され、婚約者も本物の令嬢へと乗り換えた。
彼らは、彼女がこれからド田舎で悲惨な生活を送るのだとあざ笑っていた。

しかし、彼女を迎えに来た実の家族は、なんと世界を牛耳る超巨大財閥の一族だった!
さらに、彼女自身もただの小娘ではない。その正体は、世界の医学界が平伏す伝説の天才医師だったのだ。

実家に戻るや否や、彼女は神業のようなメス捌きで次々と難病患者を救い、医療界の権威たちを圧倒していく。その圧倒的な実力に、誰もが恐れる冷酷なトップ御曹司でさえも彼女に惹かれ、無限額のブラックカードを差し出す始末。

一方、彼女を追い出した養父母の家業は倒産寸前に陥り、元婚約者も彼女の本当の姿を知って絶望の淵に立たされていた。
彼らが泣きついて許しを乞うても、彼女は冷たく言い放つ。

「今さら後悔しても、もう遅いわ」
夫が選んだのは義妹でした。だから私は家を出て、伝説のレーサーとして成り上がります

夫が選んだのは義妹でした。だから私は家を出て、伝説のレーサーとして成り上がります

13.4k 閲覧数 · 連載中 · 相葉悠衣
結婚して三年。植物状態から目覚めた夫が、最初に口にしたのは私への侮辱だった。最愛の義妹を庇うためだ。
三年間の献身的な介護は、ただの徒労だった。夫がずっと愛していたのは、私の人生も身分も、すべてを奪い取ったあの女だったのだ。
夫は義妹のために私を無一文で追い出し、街から徹底的に排除した。

だが、彼らは知らない。
かつて「家事をして尽くすだけ」だった捨てられた女が、今や世界中のレーサーを震え上がらせる伝説のドライバーであることを。

夫の宿敵から差し出された救いの手――。
全てを奪われた妻の、華麗なる復讐劇が今、幕を開ける。

勝つのは、果たして誰か?
監禁から1年、捨てられた令嬢は元婚約者の叔父を娶る

監禁から1年、捨てられた令嬢は元婚約者の叔父を娶る

95.5k 閲覧数 · 連載中 · 鈴木楓花
監禁から1年。ようやく帰宅した今井心晴を待っていたのは、変わり果てた日常だった。
家族は心晴を探そうともせず、あろうことか姉の今井優奈のために盛大な誕生日パーティーを開いていた。
しかも、その横には心晴の元婚約者の姿が……二人は婚約していたのだ。
しかし、心晴はただの被害者ではなかった。
彼女は人知れず巨額の資産と強大なコネクションを築き上げていたのだ。
真実を知った心晴は、復讐の狼煙を上げる。
彼女が選んだ新たなパートナーは、なんと元婚約者の叔父だった。
「これからは私のことを『おばさん』と呼ぶのよ、優奈!」
弁護士とゴッドファーザー

弁護士とゴッドファーザー

3.4k 閲覧数 · 連載中 · 月岛澪
彼が浮気したその夜、私は涙を流さなかった。ただ、お酒に逃げただけ。
ウイスキーが喉を灼く。その時、彼が目に入った。
仕立ての良いスーツが広い肩幅を引き立て、その瞳の奥には人を威圧するほどの冷静さが宿っている。
気品を纏ったその肉体は、骨の髄まで溶かすような誘惑に満ちていた。
私は千鳥足で歩み寄り、身体の火照りを感じながら問いかけた。「……あなた、お相手してくれる?」
彼は口元をわずかに吊り上げた。「君のことは知っているよ」
私は彼の膝の上に腰掛けた。シガーの煙と濃厚なコロンの香りが私を幾重にも包み込む。
指先で彼の顎に触れ、そのまま腰元の冷たい金属のアクセサリーへと滑らせた。
その瞬間、彼は私を強く抱き寄せた。その身体は重厚で力強く、逃げることなど許さない。
重ねられた彼の唇は重く、熱く、深く、拒絶を許さないほどの独占欲を孕んでいた。
口づけを交わすたびに呼吸を奪われ、触れられるたびに、私はどうしようもなく彼に寄り添ってしまう。
彼に横抱きにされてバーを後にする頃には、私の頭はすっかり朦朧としていて、心の奥でさらなる温もりを求めていた。
彼のベッドの上で、彼は熱烈でありながらも理性を保ち、何度も私を絶頂へと導き、すべての理性を狂わせていく。
翌朝、目が覚めると、私は彼のベッドのシーツにくるまれていた。肌には彼が残した痕跡がいくつも刻まれている。
夜が明ける前に、私は逃げるようにその場を去った。この一夜は、元カレへのあてつけの、ただの荒唐無稽な過ちだと言い聞かせて。
けれど、彼と過ごしたあの夜の時点で、私の運命はすでに決まっていたのだ――。
私を芯から熱くさせたあの男は、私の想像を遥かに超えるほど、危険な存在だった。
世界が彼女を選んでも、私は私を裏切らない。〜愛の終わり、私の始まり〜

世界が彼女を選んでも、私は私を裏切らない。〜愛の終わり、私の始まり〜

37.8k 閲覧数 · 連載中 · 鈴木楓花
「彼女が死にそうなのに、もっと寛大になれないのか?」

夫はそう言った。

だから、私は寛大になってあげた。

私たちの娘が、彼女のせいで引き起こされたアレルギー発作で救急搬送されたとき、夫が付き添うはずだった時間を、寛大にも彼女に譲ってあげた。

一生に一度クラスのプラチナチケットだって彼女に譲った。夫が「彼女の方がそのチケットにふさわしい」と言ったから。

実の娘から「お母さんが代わりに死ねばよかったのに」と呪いの言葉を吐かれても、私は耐え抜いた。

けれど――彼が私の同情を引くために狂言誘拐を仕組んだと私を非難したとき、私の寛大さは限界を迎えた。

私は離婚届を彼の顔面に叩きつけてやった。彼は鼻で笑い、自分が不届き者(私)の命綱だとでも思っているようだった。

彼がどれほど愚かな勘違いをしているか、すぐに思い知ることになるわ。
不倫夫を捨てた夜、私は新しい彼に抱かれる

不倫夫を捨てた夜、私は新しい彼に抱かれる

2.6m 閲覧数 · 連載中 · 七海
初恋から結婚まで、片時も離れなかった私たち。
しかし結婚7年目、夫は秘書との不倫に溺れた。

私の誕生日に愛人と旅行に行き、結婚記念日にはあろうことか、私たちの寝室で彼女を抱いた夫。
心が壊れた私は、彼を騙して離婚届にサインをさせた。

「どうせ俺から離れられないだろう」
そう高をくくっていた夫の顔に、受理された離婚届を叩きつける。

「今この瞬間から、私の人生から消え失せて!」

初めて焦燥に駆られ、すがりついてくる夫。
その夜、鳴り止まない私のスマホに出たのは、新しい恋人の彼だった。

「知らないのか?」
受話器の向こうで、彼は低く笑った。
「良き元カレというのは、死人のように静かなものだよ?」

「彼女を出せ!」と激昂する元夫に、彼は冷たく言い放つ。

「それは無理だね」
私の寝顔に優しくキスを落としながら、彼は勝ち誇ったように告げた。
「彼女はクタクタになって、さっき眠ってしまったから」
実の妹と私を騙した冷徹夫、失うものすら残らない地獄へようこそ

実の妹と私を騙した冷徹夫、失うものすら残らない地獄へようこそ

4.7k 閲覧数 · 連載中 · ^野田恵^
来栖琴音は、自分たちの結婚が本物の愛で結ばれていると信じて疑わなかった。

この3年間、彼女は自分のキャリアさえも犠牲にして、完璧な妻であり続けようと尽くしてきた。
――だが、そんなおとぎ話は、夫の裏切りを知った瞬間に無惨にも崩れ去る。

不倫の真相を追う彼女の前に、次々と暴かれていく歪んだ欺瞞の数々。
あろうことか実の妹との禁断の不貞、横領された会社の資産、そして琴音の社会的名声を徹底的に失墜させようとする冷酷な陰謀――。
彼は彼女の心を壊しただけではない。彼女の未来そのものを盗み取っていたのだ。

無駄にされた10年分の対価を、今度は私がすべて奪い尽くす番。
――最後に何もかもを失って絶望するのは、あなたよ。
「田舎者」と笑われた私、実は裏社会の女帝でした ~冷徹社長に正体がバレて溺愛される~

「田舎者」と笑われた私、実は裏社会の女帝でした ~冷徹社長に正体がバレて溺愛される~

113k 閲覧数 · 連載中 · 68拓海
ある名家から「不吉な忌み子」として捨てられ、世間からは「ただの田舎娘」と嘲笑される少女。
しかし、その正体は……
ファッション界を牽引するカリスマであり、香水界の伝説的な始祖。
さらには裏社会と政財界の命脈を握り、大物たちが跪く「影の支配者」だった!

長きにわたる雌伏の時を経て、彼女はついに帰還する。
奪われたすべてを取り戻し、自分を蔑んだ一族や世間を足元にひれ伏させるために。

一方、彼女の前に立ちはだかるのは、商業界の帝王と呼ばれる冷徹な男。
彼は知らなかった。裏でも表でも自分を脅かす最強の宿敵が、目の前で愛らしく微笑むこの少女だということを。

互いに正体を隠したまま、幾度もの交戦を重ねる二人。
そのスリリングな攻防の中で、二人は互いの秘密と脆さを共有し、やがて敵対関係は唯一無二の愛へと変わっていく。

そして危機が訪れた時、二人はついに仮面を脱ぎ捨て、並び立って頂点へと君臨する。

「君の『仮面』はすべて剥がした。次は、その心を裸にする番だ」
元妻を追う冷酷社長、プライドを捨てて泣き崩れる

元妻を追う冷酷社長、プライドを捨てて泣き崩れる

12k 閲覧数 · 連載中 · ほしの ちなつ
愛なき五年間の結婚生活。私は『妻』ではなく、ただの置物だった。夫の愛などもういらない。
私は静かに家を捨て、彼の知らない子供と共に旅立った。
だが、私の消えた世界で、冷酷なはずの夫の歯車が軋み始める。
冷徹な社長の面影は消え、今や彼は狂気じみた執着で、この街のすべてを焼き払う勢いで私を追い求めている。
私が彼を滅ぼした――だから、今度はこの命を捧げて守り抜く

私が彼を滅ぼした――だから、今度はこの命を捧げて守り抜く

9.1k 閲覧数 · 連載中 · 南宮
愛する人を殺めた罪の重さ、その疼きを私は決して忘れない。
二度目の生を得た私は、かつて私が踏みにじった孤独な王のもとへ再び舞い戻った。
「未来」という名の禁断の知恵を、唯一の嫁入り道具として。
彼に差し出される毒も、背後に潜む暗殺の罠も、すべて私の視界の中にある。
これは彼を導くための道標であり、魂の誓い。
彼を闇へ堕としたかつての私は、もういない。
今、私は彼を守り抜くために全てを焼き払う、最も鋭き刃となる。