代理母は彼の継母

代理母は彼の継母

大宮西幸 · 完結 · 22.3k 文字

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紹介

みんなハーパーはアレクシスそっくりだと言った。同じ金髪。同じ青い瞳。同じ笑顔。

当然だった。アレクシスは私の代理母だったのだから。私の体にできないことを、彼女がハーパーを宿してくれた。彼女は私に母親になるという贈り物をくれた。

少なくとも、私はそう信じていた。

DNA検査の結果を見るまでは。ハーパーのDNAの50%は夫のコルトンと一致していた。そして50%は彼の継母アレクシスと。

私とは0パーセント。

代理出産などなかった。体外受精クリニックも。胚移植も。ただ夫が継母と寝て、私にようやく母親になれたと信じ込ませただけだった。

ハーパーの一歳の誕生日。庭には六十人の客。完璧なパーティー。

私は立ち上がった。

チャプター 1

 夫の義母が私の娘にケーキを食べさせている姿。それを見た瞬間、私の中で何かがプツンと音を立てて切れた。

 ハーパーの1歳の誕生日パーティー。完璧な天気。完璧な飾り付け。そして、完璧な嘘。

 庭園は、かつて私が友人だと呼んでいた人々で溢れかえっていた。皆、ピンクのドレスを着た主役の女の子に黄色い声を上げている。ハーパーはアレクシスの膝の上に座り、その金色の巻き毛が陽の光を浴びて輝いていた。まるで雑誌の広告のような光景だ。母と娘。同じ青い瞳。同じ可愛らしい鼻。何もかもがそっくりだった。

 ただ一つ違っていたのは、母親役はアレクシスではないということ。母親は、私のはずだった。

 一年前なら、二人がこうして一緒にいるのを見て涙を流していただろう。半年前なら、感謝の気持ちを抱いていただろう。私が子供を授かれない体だとわかった時、アレクシスは「私が代わりに産んであげる」と申し出てくれた。彼女はとても優しくて、思いやりのある人だった。アレクシスは、私に母親になるという贈り物をくれたはずだった。

 今はただ、吐き気がするだけだ。

 コルトンが二人の後ろに立ち、スマホですべての瞬間を録画していた。結婚して5年になる夫は、義母と私たちの娘を、まるで自分の世界のすべてであるかのように見つめている。まあ、実際そうなのだろう。ただ、ここにいる誰もが想像もしないような意味で。

「マディソン、写真に入って!」アレクシスが声を上げた。蜂蜜のように甘い声。彼女はいつも私をマディソンと呼んだ。まるで姉妹か、親友であるかのように。

 そうだと信じていた頃もあった。

 私は立ち上がった。その動きにコルトンが気づく。彼は私に微笑みかけた。長い間私を欺き続けてきた、あの完璧な笑顔で。「マディソン、おいでよ。家族写真だ」

 家族。そうね。

 私はゆっくりと彼らに歩み寄った。周囲の会話が遠のいていく。この瞬間のために、2週間前から計画を練ってきた。最後のDNA鑑定の結果が出てからずっと。3回目の検査だ。最初の2回が間違いであってほしいと願ったが、そうではなかった。

「実は」私の声は庭中に響き渡った。「先に言いたいことがあるの」

 コルトンがスマホを下ろす。「マディソン、何を……」

「離婚したいの」

 庭園が静まり返った。誰かのワイングラスがテーブルに当たる音が響く。事情を理解していない子供の笑い声がどこかで聞こえた。

 コルトンの笑顔が凍りついた。「え? マディソン、冗談だろ……」

「冗談を言っているように見える?」私は集まった人々の方を向いた。60人のゲスト。コルトンの家族、同僚、友人たち。そして私の元友人たち。皆、私が突然変異でもしたかのような目で私を見つめている。いいわ。見ればいい。

 私はコルトンに向き直った。「離婚よ。そして、財産はすべて私がもらう」

 彼の顔から血の気が引いた。「マディソン、君は動揺しているんだ。中に入って話そう……」

「いいえ」私は彼の言葉を遮った。「話し合いは終わり。嘘ももう終わりよ。私たち全員ね」

 私はアレクシスの方を向いた。彼女は微動だにせず、腕の中のハーパーだけがもぞもぞと動いている。その青い瞳――ハーパーの瞳であり、アレクシスから受け継いだその目が――恐怖に似た色を浮かべて私を見つめていた。

「特にあなたはね」

 アレクシスがか細い声を出した。「マディソン、意味が分からないわ……」

「分からない?」私はバッグからフォルダーを取り出した。一日中持ち歩き、この瞬間を待っていたものだ。「ハーパーは私の子じゃない。あなたの子よ。あなたとコルトンのね」

 すぐさま息を呑む音が広がった。誰かが皿を落とし、砕ける音がした。

「馬鹿げてる」コルトンが言ったが、その声は震えていた。「マディソン、冷静じゃないぞ……」

「極めて冷静よ」私はフォルダーを開き、書類を取り出した。「DNA鑑定書よ。ジーンテック研究所で調べてもらったの。ハーパーのDNAの50%はあなたと一致している、コルトン。そして残りの50%は、アレクシスと一致しているのよ」

 私は皆に見えるよう報告書を掲げ、ハイライトされた数字を指差した。「私とは0%。この子は最初から私の子じゃなかった。代理母出産なんて嘘だった。体外受精も、胚移植も、全部嘘。ただあなたたち二人が関係を持って、私をやっと母親になれたと騙しただけよ」

 耳が痛くなるほどの静寂だった。

 コルトンが私に手を伸ばす。「君は自分が何を言ってるのか分かってない……」

「触らないで」私は後ずさりした。「検査結果は3つあるの。3つの異なる研究所でね。どれも同じ結果よ」

 人混みの中から、知らない女性が声を上げた。「でも代理母出産は……アレクシスがあなたのために産んだんじゃ?」

 私は笑った。苦々しい笑い声が出た。「そう聞かされていたわ。そう信じていた。丸一年、ずっとね」

 私はアレクシスを見た。彼女は今や泣き崩れ、涙が顔を伝っていた。不穏な空気を感じ取ったのか、ハーパーがぐずり始める。一瞬――ほんの一瞬だけ――あの子のところへ行って、あやしてあげたいといういつもの衝動に駆られた。

 でも思い出したのだ。あの子は私の子ではない。一度だって私のものではなかった。

「私を弄んだのね」胸の中で怒りが燃え盛っているにもかかわらず、私の声は落ち着いていた。「二人ともよ。私を不妊で、壊れていて、価値のない女だと思い込ませた。私に感謝させたのよ。アレクシスが赤ちゃんを『代わりに』産んでくれることに。夫がとても理解のある人だということに。あなたたちが裏で関係を持っている間、私は与えられたわずかな愛情の欠片に感謝していたのよ」

「やめろ」コルトンの声が鋭くなった。「自分の恥をさらしているだけだぞ」

「そう?」私は再び群衆の方を向いた。「恥をかいているのは私? それともあなたたち?」

 人混みをかき分けてスローンが出てきた――コルトンの姉で、この場にいる数少ない私が好感を持っている人物だ。「マディソン、確かなの? DNA鑑定が間違っていることも……」

「3回も間違えたりしないわ」私は彼女に報告書のコピーを渡した。「自分で見て」

 彼女はそれを受け取った。読み進めるにつれて彼女の表情が変わっていくのを見ていた。驚愕。怒り。そして理解。

「なんてこと……」彼女は囁き、まるで初めて見る他人かのように弟を見た。「コルトン。あなた何をしたの?」

 彼は姉を無視した。その目は私に釘付けだった。「マディソン、頼む。中に入って大人同士の話し合いをしよう……」

「話し合うことなんてない」私は腕を組んだ。「もう離婚届は出したわ。共同口座も凍結したし、弁護士にも連絡済み。これは話し合いじゃない。私が『終わり』を告げているのよ」

 群衆からざわめきが爆発した。スマホが取り出される。予想通りだ。録画させればいい。投稿させればいい。証人が欲しかったのだから。

 ようやくアレクシスが口を開いた。声が震えている。「マディソン、お願い、説明させて……」

 彼女が私の手に触れようとする。

 私は身を引いた。「触らないで」

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