拒絶された月の花嫁
連載中 · Becky j
「メイトがいるわ!」
え? うそ――待って……ああ、月の女神様、そんな……。
お願いだから冗談だって言って、レックス。
だけど、彼女は本気だった。肌で感じるほどに彼女の興奮が伝わってくるのに、私が感じるのは恐怖だけ。
私たちが角を曲がった瞬間、胸を殴られたような衝撃と共に、その香りが鼻を突いた――シナモンと、ありえないほど温かい何かの香り。
私の目は部屋の中をさまよい、やがて彼の上でぴたりと止まった。長身。人を惹きつける威圧感。そして、あまりにも美しい人。
そして、すぐに……彼も私に気づいた。
彼の表情が歪む。
「ふざけるな」
彼は踵を返し――そして走り去った。
私のメイトは、私を見て、逃げ出したのだ。
ボニーはこれまでずっと、双子の姉妹を含む最も身近な人々に心身を傷つけられ、虐げられて生きてきた。同じく地獄のような日々を送る親友のリリーと共に、彼女たちは、別の群れ(パック)が主催する年に一度の盛大な舞踏会に参加し、そこから逃げ出す計画を立てる。しかし、計画は思い通りには進まず、二人は未来への希望を失い、途方に暮れてしまう。
アルファであるニコラスは28歳。メイトはおらず、今後も迎えるつもりはなかった。今年は彼が年に一度の『ブルームーンの舞踏会』を主催する番だったが、そこで自分のメイトを見つけることになるとは夢にも思っていなかった。さらに予想外だったのは、その相手が自分より10歳も年下であること、そして彼女に対して自身の身体が示す抗いがたい反応だった。メイトと出会った事実を頑なに認めようとしない彼だったが、彼の縄張りを走って逃げる二人の女狼が護衛に捕らえられたことで、その世界は一変する。
彼の元へ連れてこられた彼女たちの中に、再び自身のメイトの姿を見つけたニコラスは、彼女が、一人や二人では済まないほどの殺意を彼に抱かせるような秘密を隠していることを知る。
彼は、メイトを持つことへの抵抗感と、あまりに年若い相手への戸惑いを乗り越えることができるのか? 一方、彼の拒絶に深く傷ついたメイトは、彼を受け入れることができるのだろうか? 二人は過去を乗り越え、共に未来へ歩み出すことができるのか。それとも運命は、二人を隔てる別の計画を用意しているのだろうか?
え? うそ――待って……ああ、月の女神様、そんな……。
お願いだから冗談だって言って、レックス。
だけど、彼女は本気だった。肌で感じるほどに彼女の興奮が伝わってくるのに、私が感じるのは恐怖だけ。
私たちが角を曲がった瞬間、胸を殴られたような衝撃と共に、その香りが鼻を突いた――シナモンと、ありえないほど温かい何かの香り。
私の目は部屋の中をさまよい、やがて彼の上でぴたりと止まった。長身。人を惹きつける威圧感。そして、あまりにも美しい人。
そして、すぐに……彼も私に気づいた。
彼の表情が歪む。
「ふざけるな」
彼は踵を返し――そして走り去った。
私のメイトは、私を見て、逃げ出したのだ。
ボニーはこれまでずっと、双子の姉妹を含む最も身近な人々に心身を傷つけられ、虐げられて生きてきた。同じく地獄のような日々を送る親友のリリーと共に、彼女たちは、別の群れ(パック)が主催する年に一度の盛大な舞踏会に参加し、そこから逃げ出す計画を立てる。しかし、計画は思い通りには進まず、二人は未来への希望を失い、途方に暮れてしまう。
アルファであるニコラスは28歳。メイトはおらず、今後も迎えるつもりはなかった。今年は彼が年に一度の『ブルームーンの舞踏会』を主催する番だったが、そこで自分のメイトを見つけることになるとは夢にも思っていなかった。さらに予想外だったのは、その相手が自分より10歳も年下であること、そして彼女に対して自身の身体が示す抗いがたい反応だった。メイトと出会った事実を頑なに認めようとしない彼だったが、彼の縄張りを走って逃げる二人の女狼が護衛に捕らえられたことで、その世界は一変する。
彼の元へ連れてこられた彼女たちの中に、再び自身のメイトの姿を見つけたニコラスは、彼女が、一人や二人では済まないほどの殺意を彼に抱かせるような秘密を隠していることを知る。
彼は、メイトを持つことへの抵抗感と、あまりに年若い相手への戸惑いを乗り越えることができるのか? 一方、彼の拒絶に深く傷ついたメイトは、彼を受け入れることができるのだろうか? 二人は過去を乗り越え、共に未来へ歩み出すことができるのか。それとも運命は、二人を隔てる別の計画を用意しているのだろうか?






























