禁断の誘惑

禁断の誘惑

渡り雨 · 完結 · 23.8k 文字

664
トレンド
778
閲覧数
0
追加済み
本棚に追加
読み始める
共有:facebooktwitterpinterestwhatsappreddit

紹介

「部屋に戻れ、佳奈。今すぐ。さもないと神に誓って、一週間歩けなくなるまでめちゃくちゃに抱いてやる」

私の名前は水島佳奈 (みずしま かな)、二十歳の女子大生。ハンサムで冷徹な義兄――安藤直樹 (あんどう なおき)――に、私は憎しみを抱いている。三年前、彼は私を「もやし」と呼び、私の家族を金目当てだと罵った。

彼のお母さんが、彼がいつまでも身を固めないことを心配しているのを偶然耳にした私は、彼の完璧な仮面を打ち砕く計画を立てた。病院で彼を挑発し、手料理を振る舞い、そして深夜の誘惑で、あの触れることさえ許されないドクターを誘惑する、と。

最初はただのゲームだった。けれど、嫉妬の炎が燃え上がった時、すべては禁断の情熱へと姿を変えた――私は彼が他の女といることに怒り狂い、彼は私のデートを台無しにした。私たちは親の家の屋根の下、息を殺した囁きから、互いを溺れさせた放蕩の夜まで、あらゆる境界線を越えて密かに熱い逢瀬を重ねた。

しかし、復讐が真実の愛へと変わった時、私たちはその現場を押さえられてしまう。私たちの禁断の恋は、家族という嵐に耐え抜くことができるのか、それともすべてを破壊し尽くすのだろうか?

チャプター 1

【佳奈視点】

「言ったでしょ、博。あの子のせいで私の寿命が縮まりそうよ! もう二十四にもなるのに、男だろうが女だろうが、誰にもこれっぽっちも興味を示さないんだから!」

 私は階段の途中で足を止めた。手にはキッチンからくすねてきたばかりのリンゴを握りしめている。麗子さんの金切り声が、二人の寝室のドア越しに漏れ聞こえてくる。どうやら、相当ご立腹のようだ。

「麗子、直樹はまだ運命の相手に出会っていないだけじゃないかな」

 父さんはいつものように、のんびりとした仲裁役を演じている。

「運命の相手ですって? 博、あの子は他人の存在すら認めてないのよ! もしあの子に何かあったら……」

 麗子さんの声が苛立ちで裏返った。

「ああもう、もしあの土地が総一郎の家庭を壊したあの泥棒猫の手に渡るようなことになったら、私、絶対に許さないから!」

 うわ、マジか。私は音を立てないように近づき、ひんやりとした木のドアに耳を押し当てた。なんだか面白い話になってきたじゃない。

「麗子、落ち着いて。直樹はまだ若いし、医療の仕事に集中しているだけで――」

「あの子は氷山よ、博! 見た目は良くて頭も切れるけど、ただの氷の塊だわ。他人に興味を持とうとしないせいで、安藤家の財産を指の隙間からこぼれ落ちさせようとしてるのよ!」

(まったく、直樹ってば本当に歩く冷凍庫ね)

 私は呆れて目を回した。

(どこの女があんな冷血男に耐えられるってのよ?)

 だが、麗子さんが金銭問題で取り乱しているというのは初耳だった。

 その時だ。吐き気を催すような音が聞こえてきた――低い唸り声と荒い息遣い。父さんと義母さんが「お楽しみ」を始めようとしている合図だ。またかよ。

「うわ、マジ勘弁……」

 私は小声で毒づき、ドアから後ずさりした。

「ただ静かにリンゴを食べたかっただけなのに」

 だが、廊下に突っ立っていると、ふと何かが繋がった。三年前の記憶だ。父さんが初めて私をここへ連れてきて、麗子さんと彼女の自慢の息子に会わせた時のこと。直樹は当時十七歳でガリガリだった私を値踏みするように見下ろし、最低な野郎みたいに鼻で笑ったんだ。

「母さん、これが例の『棒切れ』か」

 彼は私がそこにいないかのように言い放った。

「当ててやろうか。この子と父親は、母さんが手っ取り早い金づるになると踏んだんだろう」

 あのクソ野郎、よくもまあ! 確かにあの頃の私は骨と皮ばかりで不格好だったけど、あれから随分と成長したのよ。出るべきところは出て、胸も豊かになったし、お尻だって丸みを帯びて、男たちが振り返るような脚線美も手に入れた。大学の男どもは嫌というほど視線を送ってくる。

 私の顔に、ゆっくりと意地悪な笑みが浮かんだ。名案が閃いたのだ。

(安藤直樹、あの堅物のろくでなし。今のこの「棒切れ」をどう扱うか、見ものじゃない?)

 これは面白くなりそうだ。最高にね。自分は特別だという顔をして、冷徹すぎて何にも関心を示さない男……もし誰かがその凍てついた殻を打ち砕いたら? あんな傲慢な野郎にはいい薬だ。それに正直なところ、その挑戦にはゾクゾクするような興奮があった。直樹は触れることのできない塔のような存在――背が高く、馬鹿みたいにハンサムで、完全に孤立している。彼を陥落させることができれば、これ以上の勝利はない。

 復讐の計画に夢中になっていて、階下の玄関が開く音に気づかなかった。

「そこで何をしている?」

 振り返ると、階段の上に直樹が立っていた。まだ病院のスクラブ姿のままだ。その射るような灰色の瞳が、疑わしげに私に向けられている。長い勤務で黒髪は乱れ、疲れ切っているようだったが、それでもなお、この男は腹が立つほど魅力的だった。広い肩幅が生地を張り詰めさせ、鋭い顎のラインは触れてみたいと思わせるほどだ。

「あ! 直樹、早かったのね」私はしどろもどろになり、心臓が早鐘を打った。やばい、盗み聞きしてたのがバレた?

「変質者みたいに母さんの寝室の前をうろついて」

 彼は抑揚のない声で言い、近づいてきた。

「答えろ、佳奈」

 パニックになった私は、とんでもなく馬鹿げた行動に出た。彼に飛びかかり、その口を手で塞ぐと、腕を掴んで強引にキッチンへと引っ張っていったのだ。彼は最初こそ驚いて抵抗しなかったが、私の掌の下で筋肉が緊張し、確かな体温が伝わってくるのを感じた。

「シーッ!」

 私は彼を廊下の先へ引きずりながら鋭く言った。

「二人は今……取り込み中なのよ。私の言ってること、わかるでしょ」

 キッチンに入ると、私は彼の手から口を離したが、後ろには下がらなかった。それどころか、視線を彼の体へと這わせた――鋭い顎のライン、広い肩を包むスクラブ、野性的な魅力を醸し出す無精髭。脈拍が一気に跳ね上がる。今だ。試してやる。

「ねえ、直樹?」

 私は声を落とし、ハスキーに囁いた。そっと手を伸ばし、彼の前腕を指先でなぞる。私のタッチに、彼の硬い筋肉がピクリと反応するのがわかった。

「ちょうどあなたのことを考えていたの」

 彼は目を細めたが、その息が一瞬止まったのを私は見逃さなかった。

「佳奈、何の真似だ?」

 私はさらに身を寄せ、掌を彼の胸、心臓の真上にぴたりと押し当てた。鼓動が速い――薄いスクラブ越しに、私の手に強く脈打つ温かい命の音。彼から発せられる熱気を感じる。病院の清潔な石鹸と、男特有の匂いが混じり合った微かな香り。

「疑問に思ってたんだけど……」

 私は顔を上げ、彼の瞳をじっと見つめ、まつ毛を少しだけ震わせた。互いの体は数センチしか離れていない。

「私とこのリンゴ、どっちのほうが……美味しそう(・・・・)に見える?」

 ほんの一瞬、その冷たい灰色の瞳に何かが揺らめいた。熱のような、あるいは飢えのような生々しい感情。私は息を呑んだ。彼の視線が私の唇に落ち、さらに下へ、首筋のカーブをなぞり、彼に押し付けられた胸の膨らみに留まる。

 だが次の瞬間、直樹は私の手首を掴んだ。乱暴ではないが、力強い拒絶だった。彼は私を一歩後ろへ突き放す。その表情は、いつもの無関心な仮面へと戻っていた。だが、彼の手指が私の肌から離れるのが、ほんの少しだけ遅かったような気がした。

「頭がおかしいんじゃないか」

 彼は私を見下すように首を振り、冷たく言い放った。

「俺に近づくな、佳奈」

 彼は踵を返し、大股でキッチンから出て行った。残された私は、火照った頬を持て余して立ち尽くしていた。

最新チャプター

おすすめ 😍

死んだはずの妻が、自分と「瓜二つ」の双子を連れて帰ってきた

死んだはずの妻が、自分と「瓜二つ」の双子を連れて帰ってきた

194.5k 閲覧数 · 連載中 · 白石
5年前、身に覚えのない罪で投獄され、身重の体で捨てられた私。
異国の地で必死に生き抜き、女手一つで双子の息子を育て上げた。

平穏を求めて帰国した私だったが、運命は残酷だ。
かつて私を捨てた元夫・ベンジャミンに見つかってしまったのだ。

「その子供たち……俺にそっくりじゃないか」

彼の目の前にいるのは、彼を縮小したかのような「生き写し」の双子。
ベンジャミンは驚愕し、私たちを引き留めようとする。
しかし、息子たちは冷酷な父親を敵視し、断固として拒絶するのだった。

「僕たちを捨てた男なんて、父親じゃない!」

やがて明らかになる、あの日の「火事」の真相と、悪女オリビアの卑劣な罠。
すべての誤解が解けた時、彼が差し出す愛を、私は受け入れることができるのか?

憎しみと、消え残る愛の間で揺れる、会と許しの物語。
家族の縁を切った日、兄たちはすべてを失った

家族の縁を切った日、兄たちはすべてを失った

739.9k 閲覧数 · 連載中 · 風見リン
前の人生で両親が交通事故で亡くなった後、長兄は世間体を気にして、事故を起こした運転手の娘を家に引き取った。
公平を期すという名目のもと、兄たちは彼女からリソースを根こそぎ奪い、その尊厳を踏みにじってまで、運転手の娘を支えた。
彼女は兄たちのためにすべてを捧げたというのに、家を追い出され、無残に死んだ。

生まれ変わった今、彼女は人助けの精神などかなぐり捨てた。許さない、和解しない。あなたたちはあなたたちで固まっていればいい。私は一人、輝くだけ。

兄たちは皆、彼女がただ意地を張っているだけだと思っていた。三日もすれば泣きついて戻ってくるだろうと高を括っていたのだ。
だが三日経ち、また三日経っても彼女は戻らない。兄たちは次第に焦り始めた。

長兄:「なぜ最近、こんなに体調が悪いんだ?」――彼女がもう滋養強壮剤を届けてくれないからだ。
次兄:「会社のファイアウォールは、なぜこうも問題ばかり起こす?」――彼女がメンテナンスに来なくなったからだ。
三兄:「新薬の開発が遅々として進まないのはなぜだ?」――彼女が治験をしなくなったからだ。
四兄:「どうしてこんなにつまらない脚本しか上がってこない?」――彼女がもう執筆しないからだ。
五兄:「この義肢は、なぜこんなに出来が悪いんだ?」――彼女が製作をやめたからだ。
六兄:「なぜチームが負けた?」――彼女が脱退したからだ。

兄たちは地に膝をついて許しを請うた。「戻ってきてくれ。俺たちこそが、血を分けた本当の家族じゃないか」

彼女は絶縁状を兄たちの顔に叩きつけ、冷ややかに笑った。
「車が壁にぶつかってから、ようやくハンドルを切ることを覚えたのね。株が上がってから、ようやく買うことを覚え、罪を犯して判決が下ってから、ようやく悔い改めることを覚えた。残念だけど、私は――許さない!」
転生して絶縁したら、元家族は破滅に

転生して絶縁したら、元家族は破滅に

35.1k 閲覧数 · 連載中 · ワニノコ
名門古川家の生まれの娘・古川朱那は、前世、父・古川邦夫と三人の兄(礼和、礼希、礼人)が養妹・周防天華を無条件に贔屓し、天華の陰険な陥れに遭い、理不尽に死んだ。
22 歳、天華に陥れられた日に生まれ変わった朱那は、過去の卑屈さを捨て、天華の悪事を暴き、偏心な家族に毅然と立ち向かう。芸能界で演技の才能を開花させ、自らの人生を切り開くため、全力で逆襲する。
令嬢は離婚を機に大富豪への道を歩む

令嬢は離婚を機に大富豪への道を歩む

818.5k 閲覧数 · 連載中 · 蜜柑
天才陰陽師だった御影星奈は、かつて恋愛脳のどん底に落ち、愛する男のために七年もの間、辱めに耐え続けてきた。しかしついに、ある日はっと我に返る。
「瀬央千弥、離婚して」
周りの連中はこぞって彼女を嘲笑った。あの瀬央様がいなくなったら、御影星奈は惨めな人生を送るに決まっていると。
ところが実際は――
財閥の名家がこぞって彼女を賓客として招き入れ、トップ俳優や女優が熱狂的なファンに。さらに四人の、並々ならぬ経歴を持つ兄弟子たちまで現れて……。
実家の御影家は後悔し、養女を追い出してまで彼女を迎え入れようとする。
そして元夫も、悔恨の表情で彼女を見つめ、「許してくれ」と懇願してきた。
御影星奈は少し眉を上げ、冷笑いを浮かべて言った。
「今の私に、あなたたちが手が届くと思う?」
――もう、私とあなたたちは釣り合わないのよ!
全能令嬢の帰還、家族が倒産?

全能令嬢の帰還、家族が倒産?

46.5k 閲覧数 · 連載中 · きりゅう りんか
万能の女神・夏川紅蓮が実家に戻ると、一家は何者かの手で破滅に追いやられた後だった。
父は冤罪で獄中にあり、母は病に伏せっている。
六人の兄たちも、ある者は身体に障がいを負い、ある者は無気力に沈んでいた。
そんな折、家に潜り込んでいた偽令嬢は状況を見るや否や一家を見捨てて姿を消し、さらに屋敷までも奪い取ろうとしていた。
世間は夏川家を「落ち目の負け犬」と嘲笑い、皆がこぞって踏みにじる。

紅蓮が静かに一声を発すれば、暗部より無数の異能の士たちが姿を現し、形勢は一瞬にして逆転する。
父は無実のまま出所し、母は健康を取り戻し、廃人同然だった長兄は再び己の足で歩き出し、残る五人の兄たちもまた紅蓮の導きによって各々の才覚を花開かせ、やがて各界を牽引する大物へと成り上がっていく。

しかし、そんな彼女を指さして嘲る者がいる。
「夏川紅蓮は地味で野暮ったい田舎者だ」と。

何を隠そう、彼女は無数の隠された顔を持つ存在。
神医の令嬢も彼女なら、国画の大家も彼女。
伝説のハッカーも彼女なら、正体不明の謎の女優も彼女。
そして、暗部を統べる首領さえも——彼女なのだ。

そんな折、頂点に君臨する名門の若様が、彼女をそっと腕のなかに抱き寄せた。

「誰が彼女を田舎くさい地味女だと言った? 彼女こそ、俺・諏訪淳行の婚約者だ」

紅蓮が流し目をひとつ送る。

「婚約、破棄しなくていいの?」

「しない」

彼が長いあいだ追い求めてきた決して手の届かない高嶺の花こそが、いま腕のなかにいる婚約者なのだ。
解消などありえない——この婚約は、死んでも解消しない。
お払い箱の杖は、夜に咲く

お払い箱の杖は、夜に咲く

6.5k 閲覧数 · 連載中 · 森川澪
「目が見えるようになった途端、手すりの杖を捨てるのね」

事故で盲目かつ失聴した夫を5年間、溢れる愛で献身的に支え続けた主人公。しかし、五感が戻った夫が最初に抱きしめたのは、かつて彼が愛した初恋の女だった。

家族からも夫からも裏切られた彼女は、未练を一切捨てて離婚を決意。

離婚の理由に「夫の夜の体力不足」という最大の屈辱を書き残し、結婚指輪を捨ててあっさりと家を出る。

夫の好みに合わせてこれまで隠していた「息をのむほど明艶な美貌」を解放し、夜の街へと繰り出した彼女は、一瞬で全場の視線を独占する。

バーのVIP席からその圧倒的な美女を凝視し、なぜか目が離せなくなっている元夫は、まだ気づいていない。それが、自分が「地味で退屈な女」だと見下していた元妻の真の姿だということに……
妻が去り、妊娠を知った俺は、ただ泣き崩れるしかなかった

妻が去り、妊娠を知った俺は、ただ泣き崩れるしかなかった

542.4k 閲覧数 · 連載中 · 蛙坂下道
鈴木七海は、中村健に好きな人がいることをずっと知っていた。それでも、彼との結婚を選んだ。
しかし、結婚して5年後、彼は離婚を切り出した。その時初めて、彼の想い人が私の父の隠し子(私の異母兄弟)だと知った。
離婚を決意した七海だったが、その時にまさかの妊娠が判明した。
精神病院で怪物マフィアのペットになった私、鎖に繋がれて半径3メートルからの外出禁止なんて聞いてない!

精神病院で怪物マフィアのペットになった私、鎖に繋がれて半径3メートルからの外出禁止なんて聞いてない!

3.1k 閲覧数 · 連載中 · 桐島遥希
報酬目当てで引き受けた「孤島の精神病院での監視任務」。
しかし、待っていたのは地獄だった。
全身に返り血を浴びたかのような凶悪なマフィアの跡取り――その「ペット」として生きる三ヶ月の契約。
半径3メートル、鎖の届く範囲が私の世界のすべて。
夜、彼のベッドで丸まり、その腕の中に囲われる時、私は狂いそうなほど心地よい「支配」を感じてしまう。
私を襲った囚人を素手で制圧する彼の狂暴さは、私への独占欲の裏返し。
「お前は俺から逃げられない」
そう囁く彼の唇に支配され、私は今日もまた、この鎖が解けないことを願ってしまう。
地獄から帰った私を、頂点の男が甘やかすなんて聞いてない

地獄から帰った私を、頂点の男が甘やかすなんて聞いてない

7.5k 閲覧数 · 連載中 · 三日月プリン
「救うのは妹の方だ。お前は強いから、生き残れるだろう」
十八年間、空気のように扱われ、誘拐事件の際にも迷わず切り捨てられた私。
「強さ」という名の言い訳で死の淵に追いやられた私は、地獄の果てで生き延びた。
そして今、全国民が見守る超人気リアリティショーの舞台に、私は「かつての復讐者」として舞い戻る。
家族が偽りの善人面を振りまく中、彼らの仮面を一枚ずつ剥ぎ取っていく最高のショウタイム。
そんな私を面白がり、盤面をひっくり返す男がいた。冷徹なるF1チャンピオン。彼だけは、私の冷酷な正義を肯定し、その権力で私を囲い込む。
さあ、復讐劇の始まりよ。私を「可哀想な犠牲者」だと思っていた報い、その身に刻ませてあげる。
終末世界で異空間チート!無限備蓄で兵王様を攻略します

終末世界で異空間チート!無限備蓄で兵王様を攻略します

26.6k 閲覧数 · 連載中 · 夜明けのソラ
渡辺千咲は大学卒業後、人生のどん底に落ち、みじめな思いで故郷に戻った。ところが、幼い頃に覚醒した役立たずの空間が突然見知らぬ男に結び付けられた。

男の方は食料不足、渡辺千咲の方は金欠で、二人は意気投合して互いに協力することになった。

「俺のいる場所では、金やダイヤモンドが地面に落ちていても誰も拾わない」

渡辺千咲はそれを聞いて目を輝かせた。男のいる時空では終末が訪れ、動植物が変異し、土地は耕作不能、水源は汚染され、さらに人類の安全を脅かすゾンビがいるのだった。

中島暁は終末世界で一年間苦しみながらも生き抜き、弾薬も食料も尽きて重傷を負いながらも、最後まで信念を貫き、仲間を見捨てることを拒んだ。

「唐揚げ、肉まん、きれいな水、あなたが欲しい物資なら何でも調達してやる!」

渡辺千咲はもはやみじめではなくなった。クリスタルのエネルギーで肌が白くなり体質が改善され、眼鏡も外せるようになり、金や骨董品が手に入り続けた。

中島暁が終末世界から持ち込んだ書籍、詞曲、漫画……によって、渡辺千咲は一躍文学芸術の大家となった。

祖母や、偽善的で貪欲な親戚たちが泣きながら彼女に許しを求めた。

数年後、記者が渡辺千咲の願いを尋ねた――

「世界平和を願っています」

大げさだと思う人もいたが、後になって戦乱を平定したのも彼女、経済を発展させたのも彼女、薬剤を発明したのも彼女の部下のチーム、ウイルス爆発を救ったのも彼女だったことが分かった。

終末世界で彼女は最後の人類を率い、ゾンビに勝利し、赤い月の終末災害を乗り越えた。

彼女の願いは実現したのだった。
本物の令嬢は、もう誰にも媚びない ~裏切られた私の、二度目の人生

本物の令嬢は、もう誰にも媚びない ~裏切られた私の、二度目の人生

11.8k 閲覧数 · 連載中 · 神楽
前世の私は、有岡家で最も虐げられた「落ちこぼれお嬢様」だった。
執事の娘・西川安菜を哀れんで手を差し伸べた結果は、地獄。
兄たちの愛を奪われ、文字通り血を吸い尽くされ、体重は40キロを切った。
追い詰められた私は、絶望のまま窓から身を投げた。
死に際の一言は……「で? これから安菜の輸血はどうするの?」という皮肉。
……のはずだったのに。
目を覚ますと、私は三年前——安菜が泣きつかれてきた「あの日」に戻っていた。
可哀想なフリをする彼女を見つめ、私は笑った。
もう二度と、優しさなんて見せない。媚びもしない。
“親切”に立ち振る舞い、彼女を使用人部屋へ追いやって自立させてあげることにした。
彼女ばかり庇うお兄様たちの機嫌取りも、もう終わりだ。
かつて尽くしまくった元婚約者・石野星紀なんて、視界に入れる価値すらない。
勘違いしないで。
今の私は、ただの「有岡家のお嬢様」じゃないんだから——。
舐めるつもり?なら、思い知らせてあげる

舐めるつもり?なら、思い知らせてあげる

53.5k 閲覧数 · 連載中 · 桜井 ゆい​
18年間、自分が実の娘でないとは知らずに生きてきた。ある日、荷物をすべて玄関の外に放り出され、街角に立ち尽くす私の前に現れたのは、噂では極貧だという「生家」から迎えに来た、見たこともない「兄」。

ところが、その兄が乗ってきたのはトラクターだった。

ガタガタと揺れるトラクターがたどり着いた先は、まるで古城のような大邸宅。そこで私は思い知る。本当の家族のもとに引き取られた私は、貧しくなるどころか、前よりずっと裕福になっていたのだ。

……だが、ちょっと待ってほしい。なぜ私には突然、婚約者というものが存在するのか。しかもその相手は、私の大学の教授だという。誰か、説明してくれないだろうか。