クズ夫が双子の弟を初夜の身代わりに?だったら好都合。ついでに彼の帝国、丸ごと奪って差し上げますわ

クズ夫が双子の弟を初夜の身代わりに?だったら好都合。ついでに彼の帝国、丸ごと奪って差し上げますわ

渡り雨 · 完結 · 13.9k 文字

954
トレンド
988
閲覧数
0
追加済み
本棚に追加
読み始める
共有:facebooktwitterpinterestwhatsappreddit

紹介

新婚の夜、ベッドにいた男は私の夫ではなく、一族から追放された彼の双子の弟だった。

前世の私は怒りに任せて事実を突きつけたが、戻ってきたクズ夫に頭を殴られ、海に突き落とされてサメの餌にされてしまった。

死に戻った二度目の人生。私は目の前にいる男の、夫と瓜二つの顔にそっと触れ、自らウェディングドレスを解いた。

「あいつが自らあなたを私のベッドに送り込んだのなら――これからは、あなたが私の『夫』よ」

今度こそ、この身代わりの忠犬をのし上がらせ、あのクズ男からすべてを奪い取ってやる!

チャプター 1

 激痛が、まだこの身のどこかに残っている気がした。

 新婚の夫は、高嶺の花のために私を海へ捨てた。私は鮫に食い千切られ、跡形もなくなった。

 骨すら残らない。

 それが、前世の私の結末。

「――っ」

 頬にひりつく痛みが走り、私は勢いよく目を開けた。

 冷や汗でびっしょりのまま、ベッドに横たわっている。

 男が、ベッドの縁に腰を下ろしていた。氷を包んだハンカチで、私の右頬をそっと冷やしている。

 数時間前――結婚式場で、私の「良き夫」松本勝矢が、自らの手で刻みつけた痕だ。

 私たちは、二つの家族の政略結婚。

 指輪を交換しようとした、その瞬間。勝矢のスマホが鳴った。

 相手は彼の後輩で、彼が宝物みたいに扱う「高嶺の花」涼宮桃香。電話口で、膝を擦りむいてしまったと泣きついていた。

 四谷家の令嬢として、家族の体面を守ろうと私は言った。せめて式だけは最後まで。新婚初夜を終えてから行ってほしい、と。

 返ってきたのは、容赦のない平手打ち。

 勝矢の目は、侮蔑と嫌悪で満ちていた。

「真澄。お前、同じ女のくせに、どうしてあんな純粋で善良な子にそこまで悪意を向けられる? どうせ今日の儀式が終われば、法的にも家の目にも夫婦だ。今夜誰が一緒かなんて、なんでそこまで執着する? まさか四谷家のご令嬢は、生まれつきの尻軽で、一晩でも男がベッドにいないと我慢できないのか?」

 私は、笑いものになった。

 それでも四谷と松本、両家の利害のために、その場で破局をぶちまけるわけにはいかなかった。

 前世の今夜、私はこのベッドで気づくことになる。来た男は勝矢ではない――家族が意図的に隠し、追放した双子の弟、翔一だと。

 私たちは気まずいまま、夜が明けるまでただ座っていた。翌日、私は怒りを抱えたまま両家に説明を求めた。

 強制的に呼び戻された勝矢は、狂ったみたいにドアを蹴破って現れた。テーブルの灰皿を掴み、私の頭を思い切り殴りつける。

 全部私のせいだと喚いた。私が騒ぎを大きくしなければ、桃香は自分がそばにいないせいで傷口が感染して熱を出すこともなかったのに、と。

 その後、桃香はまた電話を寄越し、自殺すると脅した。

 両家はついに激怒し、勝矢から連絡手段を取り上げ、私たちに「新婚旅行」を強制した。

 あのクルーザーで、勝矢はようやく桃香に電話をかける機会を得た。だが、誰も出ない。

 勝矢は、桃香はもう死んだのだと決めつけた。そして、憎しみのすべてを私にぶつけ、私の体を自らの手で鮫の群れへ突き落とした。

「奥さま……?」

 掠れた低い声。勝矢よりも、どこか張り詰めた、探るような響きがある。

 私ははっと我に返り、その顔を見据えた。

 勝矢と、まるで判で押したように同じ顔。

 翔一だ。

 双子の兄の相続権を守るために切り捨てられ、追放され、暗がりで影として生きる男。

 運命の筋書き通りなら、私は悲鳴を上げて正体を暴き、手近のスタンドを叩きつけ――死へのカウントダウンを始めていたはずだ。

 けれど私は、ゆっくりと手を上げ、彼の手の甲にそっと重ねた。

 男の瞳に、わずかな驚きが走る。反射的に手を引こうとしたが、私はきつく握り込んで離さない。

 身を少し起こし、襟元をあえて滑らせた。彼の瞳をまっすぐ射抜き、口角を吊り上げる。

「それで……今の私は、あなたを旦那って呼べばいいの? それとも……弟?」

 この瞬間、空気が丸ごと吸い取られたみたいに感じた。

 翔一の全身の筋肉が、一気に強張る。

「お前……」喉仏が、ごくりと動いた。

「命も顧みず、あなたを私のベッドに送り込んだんだもの」私はくすりと笑い、指先で彼の手首をなぞりながら上へ引き上げる。

「なら、旦那でしょ」

 言い終えるより先に、私は彼のネクタイをぐっと引き寄せ、唇で彼の疑問を塞いだ。

 翔一は最初の一瞬、ひどく硬かった。だが私の舌先が彼の防壁をこじ開けた途端、火がついたように変わる。

 二人の間に挟まれた氷が溶け、冷たい雫が私のウェディングドレスを濡らした。彼は低く息を漏らし、荒々しく私の背中のくるみボタンを引きちぎる。

 肌がぶつかり、熱い息が絡む。高価な絨毯と大きなベッドの上で、私たちは転げ回った。

 彼の大きな手が私の太腿の縁を這い、もう一歩で溺れ落ちそうになった、その時――

「……ブブッ、ブブッ」

 スマホが震えた。

 翔一の動きが止まる。私の上に覆いかぶさったまま、彼は荒い息を繰り返し、わずかに顔を横に向けた。視線が、スマホへ落ちる。

 着信表示に躍っていた名前は――勝矢。

最新チャプター

おすすめ 😍

不倫夫を捨てた夜、私は新しい彼に抱かれる

不倫夫を捨てた夜、私は新しい彼に抱かれる

3.5m 閲覧数 · 連載中 · 七海
初恋から結婚まで、片時も離れなかった私たち。
しかし結婚7年目、夫は秘書との不倫に溺れた。

私の誕生日に愛人と旅行に行き、結婚記念日にはあろうことか、私たちの寝室で彼女を抱いた夫。
心が壊れた私は、彼を騙して離婚届にサインをさせた。

「どうせ俺から離れられないだろう」
そう高をくくっていた夫の顔に、受理された離婚届を叩きつける。

「今この瞬間から、私の人生から消え失せて!」

初めて焦燥に駆られ、すがりついてくる夫。
その夜、鳴り止まない私のスマホに出たのは、新しい恋人の彼だった。

「知らないのか?」
受話器の向こうで、彼は低く笑った。
「良き元カレというのは、死人のように静かなものだよ?」

「彼女を出せ!」と激昂する元夫に、彼は冷たく言い放つ。

「それは無理だね」
私の寝顔に優しくキスを落としながら、彼は勝ち誇ったように告げた。
「彼女はクタクタになって、さっき眠ってしまったから」
死んだはずの妻が、自分と「瓜二つ」の双子を連れて帰ってきた

死んだはずの妻が、自分と「瓜二つ」の双子を連れて帰ってきた

192.1k 閲覧数 · 連載中 · 白石
5年前、身に覚えのない罪で投獄され、身重の体で捨てられた私。
異国の地で必死に生き抜き、女手一つで双子の息子を育て上げた。

平穏を求めて帰国した私だったが、運命は残酷だ。
かつて私を捨てた元夫・ベンジャミンに見つかってしまったのだ。

「その子供たち……俺にそっくりじゃないか」

彼の目の前にいるのは、彼を縮小したかのような「生き写し」の双子。
ベンジャミンは驚愕し、私たちを引き留めようとする。
しかし、息子たちは冷酷な父親を敵視し、断固として拒絶するのだった。

「僕たちを捨てた男なんて、父親じゃない!」

やがて明らかになる、あの日の「火事」の真相と、悪女オリビアの卑劣な罠。
すべての誤解が解けた時、彼が差し出す愛を、私は受け入れることができるのか?

憎しみと、消え残る愛の間で揺れる、会と許しの物語。
転生して絶縁したら、元家族は破滅に

転生して絶縁したら、元家族は破滅に

34.6k 閲覧数 · 連載中 · ワニノコ
名門古川家の生まれの娘・古川朱那は、前世、父・古川邦夫と三人の兄(礼和、礼希、礼人)が養妹・周防天華を無条件に贔屓し、天華の陰険な陥れに遭い、理不尽に死んだ。
22 歳、天華に陥れられた日に生まれ変わった朱那は、過去の卑屈さを捨て、天華の悪事を暴き、偏心な家族に毅然と立ち向かう。芸能界で演技の才能を開花させ、自らの人生を切り開くため、全力で逆襲する。
隠された天才:裏の顔が多すぎて、気づけば世界のトップを震撼させていた件

隠された天才:裏の顔が多すぎて、気づけば世界のトップを震撼させていた件

30.9k 閲覧数 · 連載中 · たけの
私の名前は江川莉奈。

育ての親の一家に家を追い出されたあの日、私は微笑みを浮かべながら、奴らが施しとしてよこした金をゴミ箱へと投げ捨てた。

誰も想像すらできないだろう。この私が、数々の名門貴族や権力者たちが大金を積んで列をなし、首を長くして診察を待つ伝説の名医——【暁】だなんて。

私が時価総額数十億ドルのファッション帝国を裏で支配していることも、ウォール街の株価をたった一回の取引で大暴落させられることも、誰も知らない。私はその正体を、この平凡で冴えない素顔の裏にすべて隠し持っていた。

さらに劇的なことに、私の実の親はこの街で頂点に君臨する最高峰の大富豪だった。

そして私の婚約者——すでに顔を合わせているにもかかわらず、その正体を知らなかったあの男こそ、この街の誰もが名前を聞くだけで震え上がる、ビジネス界の冷酷な死神:梅原晴琉だったのだ。

ある日、彼は私の手を執り、ゆっくりと距離を詰めると、耳元で低く囁いた。

「俺のこの鼓動、今なら感じられるか?」

私は至って真面目な顔で彼の胸に手を当て、大真面目にこう返した。

「心拍数は確かに少し高めですが、非常に健康的です。心配ありませんよ」

彼は一瞬呆気にとられ、それからふっと吹き出した。その瞬間の彼の笑顔に、私の心臓もなぜかドクンと跳ねた。それは、自分自身でも説明のつかない初めての衝動だった。

だが、彼が私の真実に一歩ずつ近づくにつれ……私の心は揺らぎ始めている。自分の最後の秘密を、あとどれくらい隠し通せるのだろうか。

外されるはずのなかった仮面——。だが、あの人が執拗にその霧を剥ぎ取ろうとするとき、私は一体どこへ向かえばいいのだろう?
溺愛令嬢の正体は、まさかの霊能界トップ!?

溺愛令嬢の正体は、まさかの霊能界トップ!?

323.8k 閲覧数 · 連載中 · 朝霧祈
原口家に取り違えられた本物のお嬢様・原田麻友は、ようやく本家の原田家に戻された。
──が、彼女は社交界に背を向け、「配信者」として自由気ままに活動を始める。
江城市の上流社会はこぞって彼女の失敗を待ち構えていた。
だが、待てど暮らせど笑い話は聞こえてこない。
代わりに、次々と大物たちが彼女の配信に押しかけてくるのだった。
「マスター、俺の命を救ってくれ!」──某財閥の若社長
「マスター、厄介な女運を断ち切って!」──人気俳優
「マスター、研究所の風水を見てほしい!」──天才科学者
そして、ひときわ怪しい声が囁く。
「……まゆ、俺の嫁だろ? ギュってさせろ。」
視聴者たち:「なんであの人だけ扱いが違うの!?」
原田麻友:「……私も知りたいわ。」
妻が去り、妊娠を知った俺は、ただ泣き崩れるしかなかった

妻が去り、妊娠を知った俺は、ただ泣き崩れるしかなかった

538.8k 閲覧数 · 連載中 · 蛙坂下道
鈴木七海は、中村健に好きな人がいることをずっと知っていた。それでも、彼との結婚を選んだ。
しかし、結婚して5年後、彼は離婚を切り出した。その時初めて、彼の想い人が私の父の隠し子(私の異母兄弟)だと知った。
離婚を決意した七海だったが、その時にまさかの妊娠が判明した。
令嬢は離婚を機に大富豪への道を歩む

令嬢は離婚を機に大富豪への道を歩む

816.5k 閲覧数 · 連載中 · 蜜柑
天才陰陽師だった御影星奈は、かつて恋愛脳のどん底に落ち、愛する男のために七年もの間、辱めに耐え続けてきた。しかしついに、ある日はっと我に返る。
「瀬央千弥、離婚して」
周りの連中はこぞって彼女を嘲笑った。あの瀬央様がいなくなったら、御影星奈は惨めな人生を送るに決まっていると。
ところが実際は――
財閥の名家がこぞって彼女を賓客として招き入れ、トップ俳優や女優が熱狂的なファンに。さらに四人の、並々ならぬ経歴を持つ兄弟子たちまで現れて……。
実家の御影家は後悔し、養女を追い出してまで彼女を迎え入れようとする。
そして元夫も、悔恨の表情で彼女を見つめ、「許してくれ」と懇願してきた。
御影星奈は少し眉を上げ、冷笑いを浮かべて言った。
「今の私に、あなたたちが手が届くと思う?」
――もう、私とあなたたちは釣り合わないのよ!
冷徹CEOと決別した天才画家

冷徹CEOと決別した天才画家

1.7k 閲覧数 · 連載中 · 森川澪
「お前などただの身代わりに過ぎない。妹の命を奪った罪、一生かけて生殺しで償え」

結婚初夜、冷徹な夫から愛する妹の「身代わり」として手ひどく扱われた主人公。

その直後、彼女は妹の策略によって「殺人犯」に仕立て上げられ、夫の手で陰湿な地下室へと監禁されてしまう。

病気の母親の治療費を人質にすべての財産を奪われ、暴雨のなか妹の墓前に跪かされた彼女に下されたのは、「胃がん末期」という非情な余命宣告だった。

夫への愛が完全に死んだ彼女は、母親を救うため、自身の天賦の才である「絵画」で生き残ろうと抗い始める。しかし、冷酷な夫は彼女の最後の希望さえも容赦なく踏みにじり、さらなる絶望の深淵へと追い詰めていく。
二度目はない 動じず咲く

二度目はない 動じず咲く

176.9k 閲覧数 · 完結 · Gloria Fox
結婚式の一ヶ月前、私は一年かけて自らの手で縫い上げたウェディングドレスを燃やした。

婚約者は身ごもった愛人を腕に抱き寄せたままそこに立ち、私を鼻で笑っていた。「俺がいなきゃ、お前なんて何の価値もない」

私はきびすを返し、この街で最も裕福な男の扉を叩いた。「ロック氏、政略結婚にご興味はおありですか? 千億ドル相当の株式――それに加え、未来のビジネス帝国も無料でお付けいたしますわ」
離婚後、奥さんのマスクが外れた

離婚後、奥さんのマスクが外れた

331.3k 閲覧数 · 連載中 · 来世こそは猫
結婚して2年後、佐藤悟は突然離婚を申し立てた。
彼は言った。「彼女が戻ってきた。離婚しよう。君が欲しいものは何でもあげる。」
結婚して2年後、彼女はもはや彼が自分を愛していない現実を無視できなくなり、過去の関係が感情的な苦痛を引き起こすと、現在の関係に影響を与えることが明らかになった。

山本希は口論を避け、このカップルを祝福することを選び、自分の条件を提示した。
「あなたの最も高価な限定版スポーツカーが欲しい。」
「いいよ。」
「郊外の別荘も。」
「わかった。」
「結婚してからの2年間に得た数十億ドルを分け合うこと。」
「?」
本物の令嬢は、もう誰にも媚びない ~裏切られた私の、二度目の人生

本物の令嬢は、もう誰にも媚びない ~裏切られた私の、二度目の人生

11.5k 閲覧数 · 連載中 · 神楽
前世の私は、有岡家で最も虐げられた「落ちこぼれお嬢様」だった。
執事の娘・西川安菜を哀れんで手を差し伸べた結果は、地獄。
兄たちの愛を奪われ、文字通り血を吸い尽くされ、体重は40キロを切った。
追い詰められた私は、絶望のまま窓から身を投げた。
死に際の一言は……「で? これから安菜の輸血はどうするの?」という皮肉。
……のはずだったのに。
目を覚ますと、私は三年前——安菜が泣きつかれてきた「あの日」に戻っていた。
可哀想なフリをする彼女を見つめ、私は笑った。
もう二度と、優しさなんて見せない。媚びもしない。
“親切”に立ち振る舞い、彼女を使用人部屋へ追いやって自立させてあげることにした。
彼女ばかり庇うお兄様たちの機嫌取りも、もう終わりだ。
かつて尽くしまくった元婚約者・石野星紀なんて、視界に入れる価値すらない。
勘違いしないで。
今の私は、ただの「有岡家のお嬢様」じゃないんだから——。
追放された偽令嬢、実は超財閥の真の令嬢

追放された偽令嬢、実は超財閥の真の令嬢

155.6k 閲覧数 · 連載中 · あざ鳥
「お前みたいな偽物の令嬢、さっさと山奥に帰れ!」

孤児だと判明した途端、彼女は養父母から冷酷に家を追い出され、婚約者も本物の令嬢へと乗り換えた。
彼らは、彼女がこれからド田舎で悲惨な生活を送るのだとあざ笑っていた。

しかし、彼女を迎えに来た実の家族は、なんと世界を牛耳る超巨大財閥の一族だった!
さらに、彼女自身もただの小娘ではない。その正体は、世界の医学界が平伏す伝説の天才医師だったのだ。

実家に戻るや否や、彼女は神業のようなメス捌きで次々と難病患者を救い、医療界の権威たちを圧倒していく。その圧倒的な実力に、誰もが恐れる冷酷なトップ御曹司でさえも彼女に惹かれ、無限額のブラックカードを差し出す始末。

一方、彼女を追い出した養父母の家業は倒産寸前に陥り、元婚約者も彼女の本当の姿を知って絶望の淵に立たされていた。
彼らが泣きついて許しを乞うても、彼女は冷たく言い放つ。

「今さら後悔しても、もう遅いわ」