彼はかつて私を打ちのめした、今度は私が彼を打ちのめす番だ

彼はかつて私を打ちのめした、今度は私が彼を打ちのめす番だ

桐島遥希 · 連載中 · 367.9k 文字

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紹介

彼らが最初に奪ったのは、私の子供だった。

次に、私の両親。

三番目に、私の自由、私の両目、そして生きる理由のすべて。

結婚記念日の日、夫は私を三人の男たちに差し出した。彼は私を犬小屋に閉じ込め、彼の愛人はそばで嘲笑っていた。彼は私に自分の息子の遺骨を食べさせ、それを「慈悲」と呼んだ。

彼は私が汚れていると言った。私は当然の報いを受けているのだと。

しかし、彼が固く信じていたDNA鑑定の結果は嘘だった。あの動画は捏造されたものだった。そして、彼がこれから娶ろうとしている女こそが、私たち全員を破滅させた元凶だった。

私は自殺を試みた。四度。

今は、もう試みない。

彼らは死んだ女を土の中に埋めた。だが間もなく気づくだろう——彼女が地獄をも連れ戻したことに。

チャプター 1

「放して! 沈村政志に会わせて!」

渋谷の最上階にあるペントハウス。鈴宮若子は喉を潰したような声で叫んだ。

身をよじって逃れようとしても、手首も足首も縄で固く縛られ、巨大なベッドの上に屈辱的な格好で固定されている。九か月の腹は無防備に空気へ晒され、乳首には金具が噛みついたまま、にじんだ母乳が白く汚れ、熱を持って痛んだ。

「お姉ちゃん、そこまでされても、まだ政志さんに会いたいの?」

くすり、と笑う声が横から落ちる。

ソファに腰掛けた林原雨子が、楽しげに若子の裸を値踏みするように眺めていた。目にあるのは蔑みだけだ。

「そんな汚い身体、政志さんだって一目見ただけで吐き気するわ」

「黙れっ!」

若子が必死に暴れるほど縄は肉に食い込み、手首から滲んだ血がシーツを染めた。

「林原雨子……このクズ! 私をハメて、不倫したってことにした! あの写真、全部捏造じゃない!」

「捏造でもいいでしょ。政志さんが信じれば、それで終わり」

雨子は笑みを深くし、得意げに瞳を細める。

「じゃなきゃ、なんであんたがここで犬みたいに縛られてると思うの?」

若子の目が一気に充血した。狂ったように身をよじり、喉が裂けるほど叫ぶ。

「林原雨子! お腹の子は沈村政志の子よ! あんたがこんなことしたって知ったら、あいつは――絶対にあんたを殺す!」

「……あ、そうだ。言われて思い出した」

雨子がすっと立ち上がった。顔には愉悦が浮かび、声は弾んでいた。

「政志さん、もう羊水で親子鑑定してるの。この子、政志さんとは一ミリも関係ないって。だから、堕ろせって言われてるのよ。私が」

「そんな……ありえない……」

若子は首を振った。信じられない、という顔のまま。

結婚して五年。彼以外に触れさせたことなんてない。なのに、どうして。

「絶対あんたが……鑑定を偽造――」

言いかけた瞬間、子宮の奥を槍で貫かれたような激痛が走り、若子は身体を折り曲げ、喘ぐような呻き声を漏らした。

雨子が眉を上げる。

「どうしたのお姉ちゃん。まさか、産まれそう?」

若子は荒く息を吸い、額から冷や汗を噴き出しながら懇願した。

「病院に……お願い……連れてって……」

「そんなにその「因果の子」を産みたいなら、手伝ってあげる」

雨子はそう言って、ぱん、と手を叩いた。

寝室の扉が開き、体格のいい黒人が三人入ってきた。

全裸。手には、すでに昂ぶった肉塊を弄びながら、ベッドの上の若子をねっとりと見つめる。口元には下卑た笑みが張りついていた。

若子の声が震える。

「林原雨子……あなた、正気……?」

雨子はベッドの足元に置かれた三脚の横へ行き、カメラを起動して、レンズを若子に向ける。角度を整え、淡々と準備を終えると、三人へ言い放った。

「この人、東京でもトップクラスのモデルなの。いま急いで産みたがってるんだって。お腹の中身を――出してやれた人には、たっぷりご褒美あげる」

三人の目が、同時にぎらついた。

「林原雨子――っ!!」

若子の叫びは、最初に飛びかかってきた男に塞がれた。

飢えた獣みたいに身体を覆いかぶせ、歯で乳首の金具を噛み取る。じゅる、と貪るように吸い付かれ、若子は喉の奥で悲鳴を潰した。両手は縛られたまま、押し返すことすらできない。

続いて二人目が若子の脚を無理やり開き、硬く反り返ったものを狙い定めると、容赦なく突き入れた。

三人目は顎を掴み上げ、臭気の混じった肉を口へ押し込み、喉奥までねじ込む。男は酔ったような顔で腰を揺らした。

誰かが更に興奮を求めたのか、手首の縄をほどき、その手を口に含んで舐め啃った。

シーツはぐしゃぐしゃに引き裂かれ、血と体液が散って染み込んでいく。

若子は涙と唾液を絡め、喉から壊れたような嗚咽を漏らした。三人に同時に蹂躙され、九か月の腹が衝撃のたびに大きく揺さぶられる。

――落ちていく。

そう感じた。

陣痛と侵入の二重の痛みで視界が何度も暗転し、意識が削られていく。

「や……お願い……やめ……っ」

言葉にならない。口は塞がれ、残るのは「ん゛、ん゛」という呻きだけ。

雨子はカメラの後ろに立ち、満足げな笑みを浮かべたまま、のんびりと画角を調整していた。

若子の意識が溶けていく。

下半身から熱いものが溢れ出し、突き上げられるたびに子宮ごと押し出されそうになる。生きたまま裂かれていくような痛みに、若子は悲鳴を上げた。

シーツはあっという間に赤く染まった。

「もうすぐだ! 破水したぞ!」

男の一人が興奮で叫ぶ。

「いい子」

雨子は笑って言った。

「続けて。止めないで」

「いやぁぁぁっ――!」

若子の絶叫は、三人の荒い息づかいに呑まれた。

身体が内側から外側まで、ばらばらに引き千切られていく。どこもかしこも、致命的な痛み。

意識が完全に途切れそうになった、その瞬間。

寝室の扉が、蹴り破られた。

沈村政志が立っていた。高い鼻梁。薄い唇は一本の線に結ばれ、目は氷のように冷たい。そこにいるだけで空気が重くなり、息が詰まるほどの圧が広がる。

視線が乱れたベッドへ走り、裸の若子と、その上に覆いかぶさる三人を捉えた瞬間――彼の顔から色が消えた。殺意の形をした沈黙。

三人は一斉に青ざめ、慌てて若子から転げ落ちるように離れ、床に膝をついた。血の付いたそれを晒したまま、震えている。

「政志さん!」

雨子は瞬時に表情を作り替え、カメラを止めると、泣きそうな顔で沈村へ駆け寄った。

「やっと来てくれた……! 私、必死に止めたの。妊娠してるのに乱暴なことしないでって。でもお姉ちゃん、こういうのが刺激になるとか言い出して……私、どうしても止められなくて……!」

沈村政志は雨子を見ない。

視線は、ベッドの上で半ば意識を失いかけている若子に固定されていた。肌にべったりと付着した汚らしい精液を目にして、拳が勝手に握り込まれる。

「し、沈村さん……」

黒人の一人が口を開いた。

沈村政志は低く遮る。

「連れ出せ。撃て。犬に喰わせろ」

三人はその場で崩れ落ち、額を床に擦りつけるようにして叫んだ。

「沈村さん、命だけは! 沈村さん、お願いします! 俺たちは林原さんに――!」

言い終える前に、警護の男が四人雪崩れ込み、三人を引きずっていった。

廊下の奥で、すぐに乾いた銃声が響く。

雨子はその音にびくりと肩を跳ねさせ、恐る恐る沈村の袖を掴もうとする。

「政志、私ほんとに止めようと――でも、この人が……」

「お前も出ていけ」

沈村政志の声は、氷みたいに冷え切っていた。

雨子は唇を噛み、それ以上は何も言わず、扉の外へ消えた。

沈村政志はベッドへ一歩ずつ近づく。

カメラはまだ回っていた。モニターには、若子が複数に蹂躙される映像が繰り返し映し出される。その内容は、かつて彼に見せられた「浮気の証拠写真」と、異様なほど重なっていた。

沈村は画面を見つめ、顎の筋肉をぎり、と硬くする。手の甲に血管が浮いた。

若子はぼんやりと意識を取り戻し、かすむ目を開けた。そこに、見慣れた影がある。

「……沈村政志……」

救いを見つけたみたいに、残り少ない力を振り絞って手を伸ばす。

「病院に……連れてって……」

沈村政志は見下ろしたまま、目の奥に温度を一切宿さず、薄い唇を開いた。

「その姿を見てると、今すぐ死んでほしい」

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翌朝、目が覚めると、私は彼のベッドのシーツにくるまれていた。肌には彼が残した痕跡がいくつも刻まれている。
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公平を期すという名目のもと、兄たちは彼女からリソースを根こそぎ奪い、その尊厳を踏みにじってまで、運転手の娘を支えた。
彼女は兄たちのためにすべてを捧げたというのに、家を追い出され、無残に死んだ。

生まれ変わった今、彼女は人助けの精神などかなぐり捨てた。許さない、和解しない。あなたたちはあなたたちで固まっていればいい。私は一人、輝くだけ。

兄たちは皆、彼女がただ意地を張っているだけだと思っていた。三日もすれば泣きついて戻ってくるだろうと高を括っていたのだ。
だが三日経ち、また三日経っても彼女は戻らない。兄たちは次第に焦り始めた。

長兄:「なぜ最近、こんなに体調が悪いんだ?」――彼女がもう滋養強壮剤を届けてくれないからだ。
次兄:「会社のファイアウォールは、なぜこうも問題ばかり起こす?」――彼女がメンテナンスに来なくなったからだ。
三兄:「新薬の開発が遅々として進まないのはなぜだ?」――彼女が治験をしなくなったからだ。
四兄:「どうしてこんなにつまらない脚本しか上がってこない?」――彼女がもう執筆しないからだ。
五兄:「この義肢は、なぜこんなに出来が悪いんだ?」――彼女が製作をやめたからだ。
六兄:「なぜチームが負けた?」――彼女が脱退したからだ。

兄たちは地に膝をついて許しを請うた。「戻ってきてくれ。俺たちこそが、血を分けた本当の家族じゃないか」

彼女は絶縁状を兄たちの顔に叩きつけ、冷ややかに笑った。
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