空気のようだった妻が消えた日、俺の空っぽな日常が剥がれ落ちる

空気のようだった妻が消えた日、俺の空っぽな日常が剥がれ落ちる

わたあめ · 連載中 · 442.3k 文字

635
トレンド
34.9k
閲覧数
1.1k
追加済み
本棚に追加
読み始める
共有:facebooktwitterpinterestwhatsappreddit

紹介

妻の存在は、いつだって当たり前で、ただそこにあるだけのものだと思っていた。
だが、帰宅した俺を迎えたのは、もぬけの殻になったクローゼットと、机の上に置かれた離婚届だけだった。
三年間、彼女は何を思い、何に耐えていたのか。
初めて向き合った彼女の不在は、何よりも鋭く俺の心臓を抉る。
失って初めて気づく、俺を誰よりも愛していたはずのその手。
タイムリミットが迫る中、俺は彼女という「唯一の場所」を取り戻すために奔走する。
——もう遅いのか、それともこれはやり直すための罰なのか。

チャプター 1

(牧野結菜の視点)

夫が初恋の女とホテルへ入るところを撮られた、その瞬間。

私はちょうど、フランス勤務の申請を出し終えたばかりだった。

偶然なんかじゃない。

私が、わざとそうしたのだ。

あのとき私は、福山婆さんと福山真司に約束した。三年間、彼の妻でいると。

そして今、その期限は三か月も残っていない。

三か月後、私は彼の世界からきれいさっぱり姿を消す——誰も気にしないだろうし、もちろん私も誰にも話していない。

福山真司にとって私は、いてもいなくても同じ置き物だ。

結婚して三年、彼は一度も私に触れたことがない。交わした言葉だって片手で足りる。

同じ屋根の下に住む、ただの他人。それが私たちだった。

今はその初恋が戻ってきた。

彼の心はすっかり彼女に持っていかれている。

だったら、なおさら私がここにいる理由なんてない。

そんなとき、夫の母——福山彩子から電話がかかってきた。

「結菜、真司と愛未がホテルに入った件だけど、あなたが対処してちょうだい。大ごとにはしないで」

眉が寄る。

ただ、ひどく疲れていた。

村山愛未——それが福山真司の初恋の相手だ。

彼女の父親は生前、福山家と親しくしていたらしい。亡くなったあと、福山家が彼女を引き取った。

三年前、福山婆さんが真司と愛未の関係を知って激怒し、そのまま愛未を海外へ送った。真司がしばらくひどく落ち込んでいたことも——全部、私が結婚してから知った。

「お義母さん、わかりました」

私は小さく答えた。

「結菜、あまり気を落とさないで。真司と揉めたりもしないのよ」

彩子は電話の向こうで、いかにも慰めるような口ぶりだった。

「男なんて、昔の情の一つや二つあって当然でしょう。あなたは真司の妻なんだから、少しは器を大きく持ちなさい」

何も言えなかった。

胸の奥を抉られたみたいに、そこだけぽっかり空いた。

少しも傷ついていないなんて、そんなの嘘だ。

福山真司に嫁ぐと決めたとき、私は本気で彼が好きだった。

喧嘩なんて、するつもりもない。

福山婆さんには恩がある。亡くなる間際、私は約束したのだ。妻として三年間、きちんと真司を支えると。

この三年、私は必死だった。

彼に気に入られようと足掻き、福山夫人としてあるべきことを一心にこなしてきた。

それでも、あの氷みたいに冷え切った心は、最後まで温まらなかった。

もう、疲れた。

これ以上は、愛せない。

電話を切ると、着替えて車のキーを掴み、そのままホテルへ向かった。

最上階のプレジデンシャルスイートの前まで来て、一度だけためらう。

それでも結局、インターホンを押した。

ドアはすぐに開いた——開けたのは福山真司ではない。

村山愛未だった。

白いバスローブ姿で、濡れた黒髪が肩に落ちている。

私を見るなり、彼女はぱっと花が咲くような笑みを浮かべた。

「結菜さん! 来てくれたんだね!」

私は室内をひと目だけ見やり、冷えた声で訊く。

「真司は?」

「真司兄なら、お風呂だよ」

彼女は身体をずらし、私を中へ通そうとした。

その直後、バスルームのドアが開いた。

真司が彼女とお揃いのバスローブ姿で出てくる。タオルで髪を拭きながら、端正な顔に気だるげな色を浮かべていた。

玄関に立つ私を認めた途端、その目があからさまに不機嫌に細まる。

「どうしてお前が来るんだ?」

私が口を開く前に、愛未が先に割って入った。

「結菜さん、誤解しないでね。さっき空港でうっかりフルーツジュースをこぼしちゃって、それでホテルで先にシャワー浴びて着替えただけなの」

真司は鼻で笑った。

私を見る目には、露骨な嘲りが宿っている。

「そんなに俺をつけ回すのが好きなのか?」

さっと血の気が引いた。胸の奥が詰まるように痛む。

お義母さんに言われて来ただけだ、と言いかけて——やめた。

どうせ彼の中では、私が何をしても間違いで、何を言っても下心があることになる。

込み上げるものを押し殺し、できるだけ平静に言う。

「お義母さんが、あなたを迎えに来いって。あなたと村山さんがホテルに入る写真、もうマスコミに撮られてるわ。福山グループの株価にも影響が——」

言い終える前に、彼は冷ややかに遮った。

「牧野結菜、お前が気にするのはいつだって福山家の金だけだな。どうせあのときだって、金目当てでばあちゃんを焚きつけて俺に結婚を迫らせたんだろう?」

一言一言が刃になって胸に突き刺さる。

そう。たしかに福山婆さんは、彼に私との結婚を強く迫った。

でも彼は知らない。私は彼に嫁ぐ前から、七年も片想いをしていたことを。

結婚式の日。

私は愚かなくらい、本気で思っていた。あの日こそ、自分がいちばん幸せな瞬間を迎えたのだと。

まさか、それが悪夢の始まりだなんて。

「真司兄、そんな言い方しないで」

愛未は彼の腕をそっと引き、柔らかな声でたしなめた。

「結菜さんだって、心配して来てくれたんでしょう? 帰ってあげたら? おばさんだって気にしてるし」

真司の表情が、わずかに和らぐ。

それでも私には冷たい視線をひとつ寄越しただけで、くるりと背を向けた。

「着替えてくる」

寝室のドアが閉まる。

その瞬間、広いリビングには私と愛未だけが残された。

愛未はさっきまでの無邪気で人懐こい笑みを、すっと消した。

代わりに浮かんだのは、あからさまな軽蔑の冷笑。

「見たでしょ? 真司兄が愛してるのは、いつだって私よ。三年も福山夫人の席に居座ったところで、彼の心は手に入らなかったじゃない」

私は冷たく彼女を見た。

「そう。でも残念ね。今、正式な福山夫人は私よ。彼がどれだけあなたを愛していても、あなたはただの不倫相手でしかないわ」

愛未の顔色がみるみる悪くなる。

唇を噛みしめたまま、言い返せない。

そのとき、寝室のドアノブが動いた。

愛未の目に、ひとすじの険しい光が走る。

次の瞬間、彼女はふらりと身体を傾け、そのまま横のテーブルへ倒れ込んだ。

同時に、甲高い悲鳴。

反射的に手を伸ばす。

けれど支えようとした拍子に、手をテーブルの角へ強くぶつけてしまった。

ちょうどその場面を、着替え終えた真司が見た。

彼は大股で駆け寄り、床に倒れた愛未を抱き起こす。

「愛未、どうした?」

愛未は顔を真っ白にし、みるみる涙を溢れさせた。

右手首を押さえ、ちらりと私を見てから、俯いて嗚咽混じりに呟く。

「ち、違うの……結菜さんのせいじゃないの……私が、ちゃんと立てなかっただけで……」

芝居がかった様子に、吐き気すら覚える。

こんな手に引っかかるのは、たぶん真司くらいだ。

案の定、彼は勢いよく振り向き、私を睨みつけた。

「牧野結菜、お前、頭がおかしいのか? 愛未は画家なんだぞ。手を怪我したらどうやって絵を描くんだ!」

その怒声に、心まで冷え切っていく。

もう弁解する気力も湧かなかった。

私はただ静かに彼を見た。

彼が愛未の手を壊れ物みたいに包み込み、顔いっぱいに焦りと痛ましさを浮かべているのを。

そのやさしさを、私はこの三年、一度だって向けられたことがない。

彼は愛未の、絵を描くための手のことは気にかける。

でも私が彼のために、デザイナーになる夢を手放したことなんて、少しも気にしていない。

「大丈夫だ。今すぐ病院に連れていく」

真司の声は、驚くほどやわらかかった。

彼は愛未を横抱きにし、そのまま足早に部屋を出ていく。

最後まで、一度も私を振り返らなかった。

私は一人、その場に立ち尽くす。

そして、さっき愛未を支えようとして打ちつけた手を見下ろした。

青く変色し始めている。

誰も気づかない。

真司は、気づこうとすらしなかった。

……いい。

どうせあと三か月で、私は出ていくのだから。

私は顔を上げ、せり上がる涙を必死に飲み込んだ。

そうやって、どうにか自分を宥める。

けれどこのときの私は、まだ知らなかった。

その日まで、誰かが黙って待たせてくれるわけじゃないことを。

最新チャプター

おすすめ 😍

本物の令嬢は、もう誰にも媚びない ~裏切られた私の、二度目の人生

本物の令嬢は、もう誰にも媚びない ~裏切られた私の、二度目の人生

9.4k 閲覧数 · 連載中 · 神楽
前世の私は、有岡家で最も虐げられた「落ちこぼれお嬢様」だった。
執事の娘・西川安菜を哀れんで手を差し伸べた結果は、地獄。
兄たちの愛を奪われ、文字通り血を吸い尽くされ、体重は40キロを切った。
追い詰められた私は、絶望のまま窓から身を投げた。
死に際の一言は……「で? これから安菜の輸血はどうするの?」という皮肉。
……のはずだったのに。
目を覚ますと、私は三年前——安菜が泣きつかれてきた「あの日」に戻っていた。
可哀想なフリをする彼女を見つめ、私は笑った。
もう二度と、優しさなんて見せない。媚びもしない。
“親切”に立ち振る舞い、彼女を使用人部屋へ追いやって自立させてあげることにした。
彼女ばかり庇うお兄様たちの機嫌取りも、もう終わりだ。
かつて尽くしまくった元婚約者・石野星紀なんて、視界に入れる価値すらない。
勘違いしないで。
今の私は、ただの「有岡家のお嬢様」じゃないんだから——。
舐めるつもり?なら、思い知らせてあげる

舐めるつもり?なら、思い知らせてあげる

50.9k 閲覧数 · 連載中 · 桜井 ゆい​
18年間、自分が実の娘でないとは知らずに生きてきた。ある日、荷物をすべて玄関の外に放り出され、街角に立ち尽くす私の前に現れたのは、噂では極貧だという「生家」から迎えに来た、見たこともない「兄」。

ところが、その兄が乗ってきたのはトラクターだった。

ガタガタと揺れるトラクターがたどり着いた先は、まるで古城のような大邸宅。そこで私は思い知る。本当の家族のもとに引き取られた私は、貧しくなるどころか、前よりずっと裕福になっていたのだ。

……だが、ちょっと待ってほしい。なぜ私には突然、婚約者というものが存在するのか。しかもその相手は、私の大学の教授だという。誰か、説明してくれないだろうか。
死に戻り真令嬢の復讐 ~偽りの家族も血の兄も要りません

死に戻り真令嬢の復讐 ~偽りの家族も血の兄も要りません

23.5k 閲覧数 · 連載中 ·
前世の橘結衣は、兄たちに尽くし続けた。どんな理不尽にも耐え、健気に笑顔を向け続けた結衣を待っていたのは――お披露目パーティーでの無残な死だった。

破滅を経て死に戻った結衣は、人が変わったように冷徹になる。もう二度と、あの愚かな兄たちのために心を痛めたりはしない。

しかし、冷遇し始めた途端、兄たちの態度が一変する。

「いい加減、そんな冷たい態度を取るな」と迫る社長の長男。

「俺の誤解だったんだ……」と苦悩する医師の次男。

「頼む、やり直させてくれ!」とプライドを捨てて乞うトップスターの三男。

「俺の妹はお前だけだ!」と泣きじゃくる不良の四男。

だが、結衣の答えはひとつだけ。

「みんな、失せて」

復讐と無関心を胸に、彼女は一人の男性の手を取った。

「宮本景太。今日からあなただけが、私のたった一人の『お兄ちゃん』よ」

――しかし、彼女の本当の身分が明かされた時、今度は血縁関係のある「実の兄たち」が押しかけてきて――!?

「『唯一の兄』だと……? じゃあ、俺たちはお前の何なんだ!?」
極品の入り婿

極品の入り婿

1.9k 閲覧数 · 連載中 · 佐藤製作所
彼が財産を相続して戻ってきた時、かつて彼を見下していた人々は彼の前にひざまずくしかなかった。
追放された偽令嬢、実は超財閥の真の令嬢

追放された偽令嬢、実は超財閥の真の令嬢

144.5k 閲覧数 · 連載中 · あざ鳥
「お前みたいな偽物の令嬢、さっさと山奥に帰れ!」

孤児だと判明した途端、彼女は養父母から冷酷に家を追い出され、婚約者も本物の令嬢へと乗り換えた。
彼らは、彼女がこれからド田舎で悲惨な生活を送るのだとあざ笑っていた。

しかし、彼女を迎えに来た実の家族は、なんと世界を牛耳る超巨大財閥の一族だった!
さらに、彼女自身もただの小娘ではない。その正体は、世界の医学界が平伏す伝説の天才医師だったのだ。

実家に戻るや否や、彼女は神業のようなメス捌きで次々と難病患者を救い、医療界の権威たちを圧倒していく。その圧倒的な実力に、誰もが恐れる冷酷なトップ御曹司でさえも彼女に惹かれ、無限額のブラックカードを差し出す始末。

一方、彼女を追い出した養父母の家業は倒産寸前に陥り、元婚約者も彼女の本当の姿を知って絶望の淵に立たされていた。
彼らが泣きついて許しを乞うても、彼女は冷たく言い放つ。

「今さら後悔しても、もう遅いわ」
追放された偽物の娘、その正体は最強でした

追放された偽物の娘、その正体は最強でした

814.5k 閲覧数 · 連載中 · ゲゲゲ
「本物の娘が見つかった。お前はもう用済みだ」
あの子が現れたその日、私は『偽物の娘』として家を追い出された。
渡されたのは、わずかな小銭と地方行きの片道切符だけ。
さらに婚約者は私をゴミのように捨て、その日のうちに『本物』であるあの子にプロポーズした。

……上等じゃない。せいぜい勝った気でいればいいわ。
だって彼らは、私の【本当の顔】を何一つ知らないのだから。

名門病院が見放した命を救う『天才外科医』。
オークションで数億円の値を叩き出す『伝説の画家』。
裏社会の闘技場で無敗を誇る『影の女王』。
そして――彼らの全財産すら小銭に思えるほどの『真の巨大財閥の後継者』であることを。

今さら元婚約者が土下座で許しを請おうと、本物の娘が嫉妬で狂いそうになろうと、もう遅い。
かつて私に婚約破棄の書類を叩きつけた冷酷で傲慢なCEOでさえ、今や何かに取り憑かれたように私を追い回し、「もう一度だけチャンスをくれ」とすがりついてくる始末。

私を捨てて、自分たちの人生を『アップグレード』したつもり?
笑わせないで。最初から、圧倒的に上の存在だったのは私のほうよ。
トップ暗殺者、学園に転生する

トップ暗殺者、学園に転生する

7.4k 閲覧数 · 連載中 · ミサキ
太平洋の孤島に響き渡る爆発音の中、私は敵と刺し違えることで、すべてに終止符を打った。
そして、目が覚めた。

16歳。肥満体型。顔中に広がったニキビ。冷え切った体育倉庫の片隅で、私は丸まっていた。
周囲から16年間ずっと忌み嫌われてきたこの肉体の中で、私はわずか3秒で状況を理解した――。

「死体への憑依、つまり――転生だ」

元の肉体の持ち主は、誰もが容赦なく踏みにじる、お人好しの「いじめられっ子」だった。
継母は慢性的な毒物で彼女の身体を破壊し、実の妹は彼女を裏切って罠に嵌め、クラスメイトは彼女を暗闇に閉じ込めて冷水を浴びせ、教師さえも一緒になって彼女を踏みつけにする。

だが、あいにく。
今この身体の中にいるのは、暗殺組織のトップだ。
地獄の底から這い上がってきた、一人の女だ。

私はまず、元の持ち主が昨夜味わった屈辱のツケをきっちりと払わせ、皮膚に残る毒素を洗い流した。
物理のテストでは満点をもぎ取り、超一流の弁護士を1分1秒の狂いもなく現場へ急行させて私の弁護に当たらせ、果ては市長自らに我が家の門を叩かせ、私の後ろ盾にならせた。

今世において、私に借りのある全ての奴らから、一筆一筆、その代償を血で購わせてやる。
離婚後、奥さんのマスクが外れた

離婚後、奥さんのマスクが外れた

330.9k 閲覧数 · 連載中 · 来世こそは猫
結婚して2年後、佐藤悟は突然離婚を申し立てた。
彼は言った。「彼女が戻ってきた。離婚しよう。君が欲しいものは何でもあげる。」
結婚して2年後、彼女はもはや彼が自分を愛していない現実を無視できなくなり、過去の関係が感情的な苦痛を引き起こすと、現在の関係に影響を与えることが明らかになった。

山本希は口論を避け、このカップルを祝福することを選び、自分の条件を提示した。
「あなたの最も高価な限定版スポーツカーが欲しい。」
「いいよ。」
「郊外の別荘も。」
「わかった。」
「結婚してからの2年間に得た数十億ドルを分け合うこと。」
「?」
監禁から1年、捨てられた令嬢は元婚約者の叔父を娶る

監禁から1年、捨てられた令嬢は元婚約者の叔父を娶る

130.4k 閲覧数 · 連載中 · 鈴木楓花
監禁から1年。ようやく帰宅した今井心晴を待っていたのは、変わり果てた日常だった。
家族は心晴を探そうともせず、あろうことか姉の今井優奈のために盛大な誕生日パーティーを開いていた。
しかも、その横には心晴の元婚約者の姿が……二人は婚約していたのだ。
しかし、心晴はただの被害者ではなかった。
彼女は人知れず巨額の資産と強大なコネクションを築き上げていたのだ。
真実を知った心晴は、復讐の狼煙を上げる。
彼女が選んだ新たなパートナーは、なんと元婚約者の叔父だった。
「これからは私のことを『おばさん』と呼ぶのよ、優奈!」
令嬢は離婚を機に大富豪への道を歩む

令嬢は離婚を機に大富豪への道を歩む

811.7k 閲覧数 · 連載中 · 蜜柑
天才陰陽師だった御影星奈は、かつて恋愛脳のどん底に落ち、愛する男のために七年もの間、辱めに耐え続けてきた。しかしついに、ある日はっと我に返る。
「瀬央千弥、離婚して」
周りの連中はこぞって彼女を嘲笑った。あの瀬央様がいなくなったら、御影星奈は惨めな人生を送るに決まっていると。
ところが実際は――
財閥の名家がこぞって彼女を賓客として招き入れ、トップ俳優や女優が熱狂的なファンに。さらに四人の、並々ならぬ経歴を持つ兄弟子たちまで現れて……。
実家の御影家は後悔し、養女を追い出してまで彼女を迎え入れようとする。
そして元夫も、悔恨の表情で彼女を見つめ、「許してくれ」と懇願してきた。
御影星奈は少し眉を上げ、冷笑いを浮かべて言った。
「今の私に、あなたたちが手が届くと思う?」
――もう、私とあなたたちは釣り合わないのよ!
地獄から帰った私を、頂点の男が甘やかすなんて聞いてない

地獄から帰った私を、頂点の男が甘やかすなんて聞いてない

6.7k 閲覧数 · 連載中 · 三日月プリン
「救うのは妹の方だ。お前は強いから、生き残れるだろう」
十八年間、空気のように扱われ、誘拐事件の際にも迷わず切り捨てられた私。
「強さ」という名の言い訳で死の淵に追いやられた私は、地獄の果てで生き延びた。
そして今、全国民が見守る超人気リアリティショーの舞台に、私は「かつての復讐者」として舞い戻る。
家族が偽りの善人面を振りまく中、彼らの仮面を一枚ずつ剥ぎ取っていく最高のショウタイム。
そんな私を面白がり、盤面をひっくり返す男がいた。冷徹なるF1チャンピオン。彼だけは、私の冷酷な正義を肯定し、その権力で私を囲い込む。
さあ、復讐劇の始まりよ。私を「可哀想な犠牲者」だと思っていた報い、その身に刻ませてあげる。