呪われた未亡人から蛇王の執着へ
705 閲覧数 · 連載中 · 渡り雨
王后陛下が重い病に伏されて以来、王廷は崩壊の瀬戸際で、いつ転げ落ちてもおかしくない綱渡りを続けていた。
あの危急の局面で玉座を支えたのは、この私だ。胸を裂かれるほど痛みながら、それでも歯を食いしばって立ち続けた。護城結界の綻びを繕うため魔力を削り、夜も昼もなく王后のため延命の秘薬を調合した。
だというのに、御竜軍団がついにアビスの魔物を駆逐したその直後、私を待っていたのは勝利ではなく――致命の刃だった。
魔力は一筋ずつ、丁寧にねじ切られていく。胸の奥で脈打つ、命と力の象徴――魂の源核が、見慣れた手によって生きたまま抉り出された。
息が尽きる寸前、私はようやく刃の主の顔を見た。
新婚の夫、ドリスタン。
その隣で、もう片方の腕に抱き締められていたのは――同じ父を持つ異母妹、ヴェスペラだった。
「やっぱり君は賢いな、僕の可愛いヴェスペラ」
ドリスタンは、淡い光を放つ源核を傲慢に値踏みしながら言った。
「偽造した恋文ひとつで、あのどうしようもなく愚かな女は、喜んで僕のためにあのボロ城を死守した。――そして今、源核まで僕の戦利品だ」
ヴェスペラは甘えるように彼の胸へ頬を寄せ、碧の瞳に欲と毒を溜めたまま囁く。
「その力を吸収して生まれ変わったら、二人で王都へ戻りましょう。あなたは相変わらず高貴な帝国の王太子。そして私は、名実ともに正統な王太子妃の冠を戴くの」
吐き気のする誓いの言葉の中で、私は最後の息を飲み込んだ。
そして――再び目を開けると、そこにあったのは冷たい灰色の石の穹天。
戻ってきたのだ。ドリスタンが戦死したという訃報が、王都に届いたその日に。
大広間の隅を一瞥しただけで分かった。あの男は冷えた鉄面を被り、姿を変えて――私の可愛い妹ヴェスペラの「近侍の宣誓騎士」に成り代わっている。
私を絞り尽くすつもり? 魂の源核まで抉り取るつもり?
アビスで寝言でも見ていなさい。
あの危急の局面で玉座を支えたのは、この私だ。胸を裂かれるほど痛みながら、それでも歯を食いしばって立ち続けた。護城結界の綻びを繕うため魔力を削り、夜も昼もなく王后のため延命の秘薬を調合した。
だというのに、御竜軍団がついにアビスの魔物を駆逐したその直後、私を待っていたのは勝利ではなく――致命の刃だった。
魔力は一筋ずつ、丁寧にねじ切られていく。胸の奥で脈打つ、命と力の象徴――魂の源核が、見慣れた手によって生きたまま抉り出された。
息が尽きる寸前、私はようやく刃の主の顔を見た。
新婚の夫、ドリスタン。
その隣で、もう片方の腕に抱き締められていたのは――同じ父を持つ異母妹、ヴェスペラだった。
「やっぱり君は賢いな、僕の可愛いヴェスペラ」
ドリスタンは、淡い光を放つ源核を傲慢に値踏みしながら言った。
「偽造した恋文ひとつで、あのどうしようもなく愚かな女は、喜んで僕のためにあのボロ城を死守した。――そして今、源核まで僕の戦利品だ」
ヴェスペラは甘えるように彼の胸へ頬を寄せ、碧の瞳に欲と毒を溜めたまま囁く。
「その力を吸収して生まれ変わったら、二人で王都へ戻りましょう。あなたは相変わらず高貴な帝国の王太子。そして私は、名実ともに正統な王太子妃の冠を戴くの」
吐き気のする誓いの言葉の中で、私は最後の息を飲み込んだ。
そして――再び目を開けると、そこにあったのは冷たい灰色の石の穹天。
戻ってきたのだ。ドリスタンが戦死したという訃報が、王都に届いたその日に。
大広間の隅を一瞥しただけで分かった。あの男は冷えた鉄面を被り、姿を変えて――私の可愛い妹ヴェスペラの「近侍の宣誓騎士」に成り代わっている。
私を絞り尽くすつもり? 魂の源核まで抉り取るつもり?
アビスで寝言でも見ていなさい。


















































